二次なりきり掲示板
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- 【一時期】『 トロイメライの隠し場所 』【閉鎖】
- 日時: 2015/11/06 14:57
- 名前: 佐鳥 (ID: zflF3NFd)
- 参照: ありがちだと知っていても、それでも俺はやりたいんじゃ。
お知らせ ⇒ >>406
新組織できました ⇒ >>407
真夜中の路地裏に、僕と君の二人きり。
あまりに大量で吸い取りきれなかった血液を思わず吐き出しては、ぐったりとして心臓を動かさなくなった君の顔をもう一度見つめた。だらんと垂れる頭を支える首には、二つの穴が目玉の様に開いていた。そこからどろどろ、紅い液が。それを見ても何も思わなくなってしまったのは、僕が本当に怪物になってしまったという証だろう。それを怖がることすらなくなった。
顔に飛び散った人間の血をべろりと舐めとる。
本当にくだらない。生者にも死者にも成りきれず、その狭間に存在しては世間に隠れることもなく、殺/戮を繰り返す。それしかできず生と死の瀬戸際に在り続ける闇の眷属。異端の一族。
そんな僕らを人々は、悪魔とか、“吸血鬼”だとか呼んでいた。
そう呼ばれるたびに、僕はいつも御伽噺を思い出す。
或る奇跡の十字架の話
————吸血鬼の弱点ともよばれる其れの中で、唯一、彼らに味方する十字架
————ここではない海の向こうの錬金術師が生み出した、魔法の十字架
それを手に入れる吸血鬼は、雨水であれ聖水であれどその体に受け入れ、杭を打ち付ける前に跳ね除ける屈強な心臓を手に入れ、月だけではなく朝日をも制することができるだろう。
もしも手に入れたなら、僕は昼を生きる存在になれるのだろうか。
もしも手に入れたなら、あの子に会いに行けるかな。
もしも手に入れたなら、僕等は——僕は幸せになれるのだろうか。
奇跡の十字架、その名を人呼んでトロイメライ
( ……残念だけど、それが欲しいのは君だけじゃない )
( 探せ、この国の隅々まで! 君が自由を手にしたいなら! )
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『 キャラ募集中でございます 』
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>>1 『 ご挨拶 』
>>2 『 世界観 』
>>3 『 募集枠 』
>>407 『 募集枠2 』
>>4 『 参加者様 』
>>5 『 登録証 』 ←(容姿の欄に追記しました)
>>6 『 規則 』(※必読。更新することがあります)
>>7 『 スポット 』
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- Re: 【新組織】『 トロイメライの隠し場所 』【募集開始】 ( No.279 )
- 日時: 2015/08/30 13:11
- 名前: 緋織 ◆S2QRgg5fs2 (ID: mJV9X4jr)
- 参照: http://盛大に遅れてごめんなさい!
>>215
色人の問いかけに立花はふるふると首を振る。顔こそはうつむいて色人に当てているもの嗚咽は聞こえてこない。小さな声であたたかい、と呟くと少しだけ目を閉じた。こんなに暖かいのはいつぶりだろうか。いや、感じたことがないかもしれない。
生きている時に触れることができなかったものを吸血鬼になってから手に入れることができるなんて、少し皮肉だなぁ、と立花は思う。
じわりと閉じていたまつげを涙が濡らす。立花は色人からゆっくりと離れると小さな手で目をこするようにして拭った。
ずっと1人でも大丈夫だと思ってきた。実際平気だった。それでも暖かさに触れて、ただ自分が凍えてそういう感覚が麻痺していただけだと言うことに気づいた。
「ありがとう、色人。...その、何かあったら頼らせてね」
目線を合わせてくれる色人をまっすぐ見つめて立花は言う。ここまで言われたのだ、本当の家族のように、時に愚痴りあい、寄り添ってもいいだろう。いつか自分の大好きなワインに誘ってみよう。
笑った顔がみたい、と言われ少しだけ驚いたように色人を見つめていたが立花は嬉しそうにふふ、と笑い色人の頬に両手を伸ばし挟むようにして口を開いた。
「私も色人が好きよ」
はにかむような笑顔で笑うと色人のいう笑顔を浮かべれている自信はなかったがそれでもいいと色人の綺麗な瞳を見つめた。
- Re: 【新組織】『 トロイメライの隠し場所 』【募集開始】 ( No.280 )
- 日時: 2015/08/30 13:13
- 名前: Dietrich (ID: 3YwmDpNV)
【夜中のある道中/ラヴレンチ=ヴォスコボエワ】
「何でって、君は吸血鬼とか怖いんでしょ? だったらそうやって自分で自分を守るようなことをしないとね。少しは安心するでしょ。ほら、これを持ってたらあいつらは君に触れられないかもしれない」
微笑んだまま振り返り、両手を振って見せる。実際どうなのかしらないが、十字架が苦手なのは確かだ。こんな安っぽいおもちゃでも通じるのであれば万々歳である。あまり宗教感覚のない日本だからできることでもあるし。
「おかしいよねぇ、日本の吸血鬼なら数珠とかお経とかに恐れても良いと思うんだけど。もしかしたら聞くかもしれないね、南無阿弥陀仏とか南妙法蓮華経とか、数珠とかね!」
今度試してみるのもありかもしれない。まぁいつ我々が吸血鬼に対峙するかも知らないが。もしかしたら今まさに仕事が行われているかもしれない。そうなると少しやばいなぁ、と一人思う。
「怖ければ自分で自分を守らないと。それが迷信じみたおまじないだったとしてもね。恐怖の対象に打ち勝てるようなことはくだらないおまじないでもやってみるものだよ。案外それが正解で、君は多くの人を救うかもしれない」
おもちゃの十字架をあげておいて何を言っているのだろう。朗らかに笑いながらラヴレンチは言葉を紡いでいく。これでいて、結構自分は彼女を心配しているのだろう。
「人の価値観なんて人それぞれでさ、僕も対象外の一人なんだけど、子供って親と一緒に家で家族団欒してた方が似合うんだよ。その親と子の間に見えない壁があったとしてもね、一緒にいた方がお似合いだし、結構安心できるもんだよ。その十字架もね、信じられてなくても持ってるだけでお守りになるじゃん。効力があるかどうかは別として、そのおもちゃは吸血鬼を恐れてもいない人が持っているより、君みたいに心の底から恐れている人が持っている方が似合うんだ……っと、こんな言い方は失礼かな?」
全て憶測で話したため、何処か申し訳なさそうにラヴレンチは苦笑した。この子が思春期独特の反抗記であるかもしれないこと、吸血鬼を心の底から恐れているかもしれないこと、全ては憶測である。
「羨ましいなぁ、君にはあったかいお家があること。僕にはそんな場所なかったもん、でもまぁ、今はある意味違う意味で仲間はいっぱいだから満足だけどね。もしかしたら君より幸福かも知れない」
赤月の仲間の顔を思い浮かべてしみじみ言う。今ではあそこが自分の家だ。
「まぁ時には一人で考えたいこともあるだろうけど、そんなときは夜中に出歩くんじゃなくて……あ、そう! 映画を見たらいいよ、映画! いいよぉ映画って。全部ハッピーエンドで——違うものもあるけどね——綺麗できらきらしてて。いろんな事を教えてくれるからね! この時間でも小さな映画館は開いてることが多いし」
にこにこと笑いながら今しがた見てきた映画のパンフレットを見せる。この時間帯ともなれば見に来る客も少ない小さな映画館だ。建物の中の方が外よりも安心できるだろうから。
純和風でおっとりとした人を作ってみたいと思いましてw 確認、登録ありがとうございます!
- Re: 【新組織】『 トロイメライの隠し場所 』【募集開始】 ( No.281 )
- 日時: 2015/08/30 18:00
- 名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)
- 参照: 真谷才蔵の誕生日→12月22日 松里千草の誕生日→1月3日
- Re: 【新組織】『 トロイメライの隠し場所 』【募集開始】 ( No.282 )
- 日時: 2015/08/30 21:10
- 名前: 肉球 ◆V3sV8pUxpk (ID: /uGlMfie)
>>278
【何処かの暗い道/ウラジミール・アバルキン】
質問をすると彼は笑顔で吸血鬼に関する知識を話す
その中には御伽噺にある伝説も入っていたが気にしないでおこう
そして彼は西洋で生まれたから知っていると主張する
たしかに彼の髪は長い金髪で染めた後は無く地毛だと言う事がわかる
なるほど彼はこの東洋の島国で生まれた訳では無いのか
もっとも自分も極寒の母国ロシアで生まれ戦ったのだが
「そうか……奇遇だなぁ…俺も母国は日本ではない……極寒のロシアだ……」
そういえば彼は質問していたな?
『そして見も知らぬ通行人に声をかける貴方こそ一般人ではないですよね?』
恐らく相手は吸血鬼、ここで素性を明かしたら自分だけではない。他の部隊の人間まで巻き込むだろう
しかし答えなければ怪しまれるだろう。
自分は答えた
「まあ俺は警察組織の者だ。こんな真夜中に歩いている奴がいたら注意するのが当たり前だろう……?」
まあ嘘はついていないよな?
【>>佐鳥様
すみません!なにしろ中文スレは此処が初めてですので…少しづつ慣れるように頑張ります】
- Re: 【新組織】『 トロイメライの隠し場所 』【募集開始】 ( No.283 )
- 日時: 2015/08/30 22:31
- 名前: 霧時雨 (ID: soVn9TCU)
>>282
【何処かの暗い道/ヴィラー・ド・ノア】
「ロシア!つい数年前に訪れたばかりの国です。貴方はそこの国の人なんですか。あそこは寒いですが、その分チーズフォンデュやポトフがとても美味しいですよね。寒さゆえに、シャワーや料理が美味しく感じられましたよー。」
そう言ってついつい忘れて話してしまう。
そして相手が警察組織の者だ、と名乗って少し考える。
ここで警察手帳を見せてください、といって嘘を確実に見破ることもできる。
だがそれをすれば、相手への警戒心があることを、
引いては吸血鬼である事を確信させてしまいかねない。
で、あるならば。
「なるほど、そうなんですか……それもそうですね。お勤めご苦労様です!
夜道にも気をつけて、帰りますね。」
そう言って敬礼の真似事をすると、ニヘラと笑う。
- Re: 【新組織】『 トロイメライの隠し場所 』【募集開始】 ( No.284 )
- 日時: 2015/08/31 23:09
- 名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)
>>271
【どこかへ向かう道の途中/真谷 才蔵】
ヘラヘラと何だか情けない調子で笑うのをやめて、才蔵は逸らすこと無く裏葉を見て、彼女の言葉に耳を傾けた。
こんな時にはよく、忘れてしまったことを思い出す。いつも当たり前のこととして感覚麻痺をしているものの、自分のことを考えてくれる誰かの存在がいつも才蔵のそばにあること。自分が思っているより才蔵はずっと子供で、極悪とは違うこと。それらの事実を愛しく思うこと。
才蔵を優しいと言う裏葉の言葉は大よそ安易なものではなく、たしかな重みと温みがあると才蔵にもわかる。そしてどんな形であれ才蔵が見ず知らずの相手に手を貸すことに抵抗を示さないことを「優しい」と思うことも。自分では相変わらず自分のことを優しいとは思えないけれど、その裏葉の価値観は理解できる気がした。
まだ出会って何時間も経っていないけれど、裏葉が自分を「優しい」と思ってくれていることが嬉しいと、そう思った。
「じゃあ、失望されないようにしないとなぁ」
そっかーおれ優しいのかぁ、なんてしれっとふざけて。
「でもそう言ってもらえるなら嬉しいかな。……ははっ、てか裏葉ちゃん、さっきからおれの喜ぶことばっかり言ってくれるね? 調子乗っちゃうんですケド」
恥ずかしむでもなく、いつも通りの才蔵スマイルを炸裂しては才蔵は言った。裏葉は容姿についても綺麗だと褒めてくれたり、今だって優しいと才蔵を評価してくれたりと、賛辞をよく述べてくれる。後者に関しては少し悩むところもあるけれど、褒められて嫌だとは思わなかった。才蔵が言った言葉がきっかけで自分の名前を好きになれそうだなんて言われれば、才蔵にとっても嬉しかったし、気を良くしないわけにはいかなかった。
「うん! 自分の名前、大事にしてあげて!」
歩き出す裏葉と歩調を合わせる様にして、才蔵はその隣を歩く。時折、瞳を動かして空を見てみると、すっかり深くなった夜の空は此方の体を飲み込むような闇一色だ。今さら怖いだなんて思いもしないけれど、怪物と化した人間の瞳の色を思い出す。吸血鬼にはどす黒い双眸を持った奴が割といる。
唐突に人魚の様だと言われ、才蔵が戸惑っていると裏葉もまたおかしそうに笑った。
不思議なことをつぶやいたのは才蔵の手の冷たさに、人魚を連想したのだと教えてくれた。言われて才蔵は分かりやすく目を開いてハッとした。忘れていたのだ。どんなに誰かの腕に抱かれても自分の体は決してその熱を吸い取ることはできない——いや、厳密には違うが——のだと。普通に体温が低い人間と比べてみたっておかしなほどに自分の手は冷たいのだ。
不審に思われなかっただろうか。正直、この少女がこの世に存在する吸血鬼についてどこまで認識しているかはわからないが。
しかし、そんな心配も無駄な様だった。裏葉の笑顔は優しいまま、疑いの色などどこにもないから。少しの焦りを落ち着かせながら、才蔵は話し続けた。
「あっ、あー、そうなの? 知らなかったぁ。……そっか。ずっと水中にいればそうなっちゃうかもねぇ。ふふっ、ロマンチック!」
元々、人間であったころから、こうした人外魔境の話は嫌いじゃ無い。ロマンつながりなのか別の話題に移った会話に、才蔵は「あ、それ知ってる!」と嬉しそうに食いついた。
「面白いよねぇ、愛してるを月が綺麗ですねって!」
愛しているを月が綺麗だと訳すなんて、その歪曲した表現が面白かったから覚えていた。
女の子は甘美な言葉を夢に見る。それを言っていたのは姉妹の誰だっただろう。そちらのことはあまり気にも留めていなかったが、裏葉の言葉でふとそのことを思い出した。
裏葉に吊られるように才蔵は空を見上げ、ぽつりと「月が綺麗ですね」と試しに口に出してみた。実際に居るわけではないけれど好きな人に向ける言葉なのだと思って。隣の女性に吊られるように空を見上げて。
「んー……確かに男ってそうかもね。恥ずかしがってそういうこと、言えないかも」
少し照れたのを誤魔化して才蔵は変わらず笑う。同じく真谷に身を置く男たちはそれを言えるだろうか。笑太郎は、色人(の恋愛対象が女性かどうかはわからないが)は、皆が愛する当主様は。
(あ、シキくん言えそう)
「でもおれは、好きな子が言って欲しいって言うなら言えるかも。……ってかさ、裏葉ちゃんは? もしかして言って欲しい相手っていたりするの?」
もうすっかり仲良くなった心算でいるのか、不躾にも初対面の女性相手にコイバナなんてし出したが、才蔵にとってこれは別に特別なことではなかった。似たようなことを前にも経験して、その時は真谷の年長者から酷く怒られたけれど。
「……」
裏葉の目は迷っているようだった。少し困っているような、戸惑っているような、不安定な様な、そんな動揺が垣間見えたような気がした。何と言葉を尽くせばいいか、迷っているみたいな。軽い疑問程度だったけれど、その疑問は膨らみ始め、才蔵の視線は裏葉へと集まった。
「……大事な子?」
その口ぶりは、自分に向けられていたものとは温度も、重さも、その存在感がまるで違うようだった。家族以上の揺るがない大きな絆の存在が、そこにあるのだ。
幼馴染みたいなもの、とか、弟みたいな、とか曖昧な表現で結局才蔵にはよくわからないけれど、直接的に突っ込んでいいような隙間なんてない。そう思った。
リンくんは、裏葉ちゃんの愛しい子。そう認識していればよい。
「本当に大切な人なんだね、リンくん」
ただその温もりが伝わると、不思議とこちらも影響を受けて和やかな気持ちになるから不思議だった。
「あはは、いいなぁリンくん。裏葉ちゃんみたいな幼馴染がいるなんて。ちょっと羨ましいや」
- Re: 【新組織】『 トロイメライの隠し場所 』【募集開始】 ( No.285 )
- 日時: 2015/09/02 20:51
- 名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)
>>280
【夜中のある道中/松里千草】
「そ、そりゃそうだけど……」
不安げなのと訝しげなのが入り混じったような複雑な感情のまま、千草は自分の首から下がった十字架を持ってみたり、裏返してみたりといじくってみた。それを何度繰り返してみても、千草の目にはどう見ても市販の玩具にしか見えなかった。はたしてこんな安っぽい道具で怪物を殺せるものなのだろうか。
千草はもう一度、目の前の優男に訝しげな視線を送った。
この人の玩具の十字架への信頼は奇妙なくらい「当然」と言った雰囲気があって、それに困惑させられる。
ああでも、思い返してみればさっき自分はあまりに動揺しすぎではなかっただろうか。だから気休め程度にとお守りをくれたのかもしれない。ああでも、夜中に女子高生に声を掛けるような変質的な妙な人で——そこまで考えて、千草は思わず頬を熱くして俯いた。
そう言えばさっき自分は、普段なら考えられないくらいの大声で叫ばなかっただろうか。
(う、うわああああ恥ずかしいなんてもんじゃないいぃ)
無理矢理にでも忘れようと千草は頭をぶんぶん振るけれど、そんな簡単なことでは記憶は消えうせてくれず、千草はまた大声で叫んでしまいたいような気分だった。
取り敢えず、この十字架の効果を信じるわけではないけれど、一応貰っておこう。
それにしても、クローリクは随分と多弁でフレンドリーな人だと思う。こちらが何も話題を振らずとも、ペラペラと一方的にでも語りかけてくれるのだ。まあ、まだクローリクを信用しきったわけではないのもあるが千草は全くの知らない人に気のきいた会話を振るのは苦手だから、そう言う相手は凄く助かる。
しかし、返答に困ってただ相槌を打っているだけだった千草にクローリクは唐突に言った。
『怖ければ自分で自分を守らないと。それが迷信じみたおまじないだったとしてもね。恐怖の対象に打ち勝てるようなことはくだらないおまじないでもやってみるものだよ。案外それが正解で、君は多くの人を救うかもしれない』
その表情に声色は、先程とはまるで変わらない明るいものだった。しかしその言葉は意味深長で、まるで小説の台詞のようで、千草は聞き入った。先程とは違い、言葉がまるで耳から入ると言うよりは脳に直接届く様な不思議な感覚を経験している。
クローリクの言葉が千草の胸に届くのは一体どうしてだろう。シンプルでストレートなその価値観は、尤もだと何故か思えるのだ。
「……そうかもね」
納得した千草は、ようやっと口角を緩く上げた。
「でも……私が多くの人を救うってどういうこと?」
今ですら、自分のことで精いっぱいな千草だ。その言葉の意味はよく理解できない。こんな取るに足りない自分が他人のために何かをできるかなんて思いもしないから聞き返す。
「え……」
ペラペラと語るクローリクの言うことは、段々千草自身のことに傾いてきていると気づいた。
温かい家庭。うちは冷え切った家庭かと聞かれればそうではないから否定もしないけれど、彼にはそれが無いと言うのはどういうことなのだろう。千草は思わず眉根を下げて、クローリクを改めて見た。彼には家族がいないのだろうか。しかしそう思った途端に、仲間に恵まれているらしいことを言って笑うから、もう訳が分からない。
先程から千草は、彼に調子を乱されっぱなしなのだ。
「ああ、私も映画は好き。現実的じゃないのとか、面白いし元気になるから……」
見せられたパンフレットに乗せられた映画は、まだ千草が見たこともないものばかりで千草はそれの端から端までを見る。自然と見せられたパンフレットを手に持ちつつ、クローリクについて歩いていく。
「ああそうだ。T字路に出たら、右に曲がります」
- Re: 【新組織】『 トロイメライの隠し場所 』【募集開始】 ( No.286 )
- 日時: 2015/09/02 23:41
- 名前: 肉球 ◆V3sV8pUxpk (ID: 6k7YX5tj)
>>283
【何処かの暗い道/ウラジミール・アバルキン】
奴は俺が警察組織の人間だと知ると納得したような表情をする
確かに『赤月』は政府に考案され警察組織の一部となっているがその力は日本の警察官よりも遥かに上だ
隊長である俺も元旧ソ連軍に所属しており身体能力と場数はかなりの物だと知った
しかし何故政府は自分を隊長としたのだろう?
隊長ならあの『ウルフマザー』であるカリーナ・ベレッタの方が向いてると思うが?
まあ無駄話はここまでにしよう
さて奴は俺に労いの言葉をかけ敬礼の真似事をするが…
奴が軍でそんな敬礼を上官にしたら間違いなく酷い目にあっていたな
「そうだ…元ソ連軍兵士としていい事を教えてやろう……左手で敬礼をするのは侮辱になる……。
軍にいなくて良かったなぁ…?上官に顔が原型を留めない程に殴られるぞ
そして敬礼は着帽し野外にいる時だけだ。」
まあ間違いはあれど敬礼されたのだから答礼をしなければな
俺は右手を左胸に当て答礼をした
軍にいた頃の名残なのだろうか自然とできた事に内心驚いたがな
- Re: 【新組織】『 トロイメライの隠し場所 』【募集開始】 ( No.287 )
- 日時: 2015/09/03 15:38
- 名前: 霧時雨 (ID: hi4BpH9d)
>>286
【何処かの暗い道/ヴィラー・ド・ノア】
「なるほど、左手で敬礼は侮辱なんですね……これは失礼しました。」
そう言って苦笑する。よかった、怒られなくて。
人間と吸血鬼と言えど、どちらも元は人間。力の差があれど、怒られるのは嫌だ。そう考えるあたり、ノアは特殊な考えを持った吸血鬼なのだろう。特殊、と言うか変な考えと言うか、まあ吸血鬼の中でも変わり者。
着帽しながらするもの、と聞いて帽子を買うのも良いかもしれない、とか思っていた。
どうせ日なたには出ないのだし(出れないのだし)、買ったことなど一度も無かったのだ。
そういえばニホンには、麦わら帽子があるらしい。夜に身に着けるのも、風情がある。今度買いに行こう。
「では、これにて。警察さんも夜道には気をつけてください。大丈夫だとは思いますけど、ね。」
クスッと微笑みかけ、また夜道へと歩みを戻す。
肉まんをもう一つ出すと、もうすっかり冷えてしまっていた。
……宿屋のレンジ、貸してもらえるかなぁ。
- Re: 【新組織】『 トロイメライの隠し場所 』【募集開始】 ( No.288 )
- 日時: 2015/09/03 20:31
- 名前: Dietrich (ID: 3YwmDpNV)
【夜中のある道中/ラヴレンチ=ヴォスコボエワ】
「それ気に入ってくれた?」
ラヴレンチは嬉しそうにそう聞く。それは既に彼女に問いかける疑問形にはなっているものの、彼の中では既に完結した話しかけ方だった。ラヴレンチが渡した十字架を少女はじっくりと眺めていて、それだけで彼は嬉しかったのだ。
少しはこれで気分が晴れたらいい。久しぶりに抱いた純粋な気持ちに微かに自分も暖かくなる。まぁそれが相手にとって迷惑であってもこの際構わない。
彼女は何かを思い出すようにしたあと、急に頬を赤らめてかぶりを振る。その行動が可愛らしくて笑みを漏らすが、あまり見られているのもなんだろうと思いふいと再び前を向いて歩きだす。早く送り届けてやらないと。それが大人の義務だろう。
自分の中でそんな問いかけに自分で答えながら進んでいると、ふと珍しく彼女からこちらに疑問が投げかけられていた。どうやら先ほどのラヴレンチの言葉に突っかかりがあったらしい。こちらに声がかかる前、彼女が微かにラヴレンチの言葉を肯定するような事を呟いた気がしたが、その時の彼女の顔を見ておくべきだった。
「だって吸血鬼だよ? 生き物の生き血をすする怖い怖い悪魔、不特定多数の人物を襲う、誰しも関係ないとは言い切れない得体のしれない恐怖、その対処法を君はその十字架で証明するかもしれない」
再び振り返るラヴレンチの表情には、微かな冷徹さと狂気の色が見え隠れする。それでも目の前の可愛らしい少女を刺激しないよう、笑みを浮かべていた。明るい話をしているのだ、明るく、安全で、開けた未来。
まぁ人間にとっての、と言う意味でもあるが。
「そうすれば多くの人は命をすくわれる。だってそれを身につけているだけで住むんだからね。それに君と同じように不安を持っている人達の恐怖心も取り除くことができる、みんなが安心して外に出ることができるし、何よりも君は君を救うことで、君の周りの人間の君に対する心配や不安を取り除くことができる。これってすごいことじゃない?」
にこにこと笑ってそう言い終えたラヴレンチは再び目線を前に移した。この意見は彼女の解釈に任せるとしよう。これで彼女がこの可能性をどう思うかは自分の関わる領域ではない。
「あぁそうなんだ、それは良かった。僕の仲間内には話が合う人がなかなかいなくてね。そう言うマイナーな映画も知ってる人は少ないんだ」
まぁもともと、そういうものを必要としないところだからね。
苦笑とともにため息をつき、指示された方へと足を進めた。
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