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- Re: 『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 / イベント中 〉 ( No.14 )
- 日時: 2016/08/24 22:47
- 名前: あまちゃづる (ID: lDEsvGbw)
前のスレッドの続きです!
【 龍ノ宮 丹 / 龍ノ国 】
「説教かあ……。でも気を付けないと、怒られないに越したことはないでしょう?」
本当に気にしていなさそうな姉の言葉に軽く視線を向ければ、早速袖を濡らしている。
「ああ、もう遅いね」と笑い混じりに呟いて、自分は叱られる事は稀だなぁとぼんやり思う。
諭される事はあるけれど、誰かが丹への説教に時間を使った事はあまり記憶にない。問題行動や自分の課題が無い訳ではないが、それはきっと見えないから。
誰かが自分を心配して叱ってくれるというのは、案外悪くもなさそうだけれど――。
金魚を一匹網のなかに捕らえて掬い上げる。
「あれ、そんなに近かったかなあ……」
想定以上の歳の近さに驚いて、思わず姉をまじまじと眺めてしまう。この人と丹がひとつしか変わらないのかと意外に思うのは、歳上である姉であるという関係性ばかりを気にし過ぎているからなのだろうか。
続けられた言葉に首を傾げる。視線を金魚の泳ぐ桶に戻しても、ぴちゃぴちゃと水面をかき混ぜるだけで掬い上げる事はしない。もう制限時間も残り少ないけれど、必死で数を多く掬い上げようとは思わない。
「そう? 姉さんは私の姉さんだよ。私、東子だとか三月は名前で呼ぶけれど、姉さんを撫子って呼んでいる自分は想像がつかないし」
本当に思い浮かばない。だけれど、
(私の思う姉上様と、本当の姉上様は少し違うのだろうなあ……。この距離感が普通だったから)
普段の振る舞いこそ無気力ではあるが、姉は丹よりずっと冷静で聡明であると思う。彼女には長男に続く能力があると丹は認めているし、その普段のようす自体、自分より大人びているように感じていた。兄も姉も、丹よりずっと大きくて、前を歩いている存在だと抱いた確信は思い込みに近いのだけれど。
神格化に近いものがある。絶対に自分より強いものであると、そう信じてそれを真実にしてしまえば、丹は楽ができるから。安心して任せて、その人の負担は考えないようにしていた。いつも気遣うような言葉の裏で、自分が『まあ大丈夫だろう』と思っている事も自覚している。
兄も姉も、当然完全ではあり得ない。その隙間を覆う役割があるとすれば、それを負うのは自分ではない筈だと思って薄く笑う。
「兄上様も姉上様も尊敬しているからねえ」
軽い笑い声混じりにそう言って、網を水の中から引き上げる。制限時間を知らせる店主の声に椀と網を揃えて店主へ差し出しながら、姉の方に視線を向けた。
「着物乾くと良いね。戻って叱られる前に」
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