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Re: 【中文】不思議なサーカス団【募集中】 ( No.52 )
日時: 2016/09/17 10:20
名前: 月無 (ID: QnSr3K5Z)
参照: http://女々しい...

【イベントの件、了解いたしました。ポチポチ絡み文打ちながら、お待ちしておりますね。】


>>48

【逢沢 李緒/本編】

「事実を言った迄よ、胡散臭かったもの。 んー...それを見つけるのがめんどくさいし、見つける前に朽ち果てちゃうわ。短い命を必死に生きようなんて考え、生憎私は持ってないのよ。」


そう軽く口にしながら、転びそうになり体制を立て直すアネルの姿を面白そうに見つめる。彼と会う前までは「拾ってくれたあの人の手足となる」事が存在意義だったが、今はアネルがいるから生きているようなものだ。彼が死ねば自分はどうなるか、そんなのわかりきっている事である。
新たな存在意義を見つけるまもなく、食べることも動くこともやめた自分は朽ち果てるだろう。アネルが殺されたのならその殺した相手の血で自分の手を染めて、誰かに見つからないように暗くて狭い場所で息するのをやめる。他人を信じることの出来ない自分には相応しい死に方だと、そう思いながらも軽く頭を振ってその思考を中断させた。


「あら、今日はどっちかっていえば涼しいほうだと思うけど。一体全体アネルはなんで熱いのかしらね?
言わせたいわね、私から言うのは面白くないじゃない。どうせなら、生きているうちに一度は相手から聞きたいわ。」


クスクスと楽しいのを隠すこともなく、口元に手を当てて笑う李緒は今の現状にどちらかといえば満足していた。変わることが恐ろしいのは知っているから、今この関係が別の何かに変化してしまう事が少し怖い。どちらかが言葉を紡げば簡単に変わってしまうのが分かっているから、自分からはなかなか切り出せないのだ。
無責任だとは思う、アネルに全ての責任を押し付けたいわけでもない。でも、自分から言うには荷が重すぎる。愛の言葉なんてそんなもの、彼に伝えて万が一でも否定されたら目の前が真っ暗になるだろう。そうすれば、今のこの関係に戻ることなんてきっとできない。


「...そーいってくれると嬉しいわ。ま、それが嘘か誠か判断することは出来ねぇーけど。」


信じたい、信じている。そうはいえどそれを証明するすべなんて持ち合わせていない。だからこうやって嘘を吐いて、もし違った時に傷つかないように保険をかける。アネルの言葉はすべて信じているつもりだが、果たしてそれは本当なのだろうか。自分を正当化したいがために、彼の言葉を信じていると自分自身に嘘をついていたら...?

そこまで考えれば聞こえてきた声にバッと顔を上げる。息がしにくい、まるで水の中にいるようだ。何度か口を開閉させ、心を落ち着けるように首にかかったネックレスを握りしめる。疑うのは悪いくせだが、自分の能力が「疑心暗鬼」だと知った時からこうなる事は予想していた。だから今更どうにかしたいなんて思わないけれど、このクセと死ぬまで向き合っていかなければいけないのは正直めんどくさい。
やっと落ち着いてきた呼吸に安堵すれば、こちらを見つめる二つの瞳に視線を合わせる。「攫って欲しい」という心の願望が漏れていたとは思わなかったし、それをきちんと聞いていたとは正直驚きだ。距離は離れていたから聞き取ることは困難だろうに、やはり悪魔は聴覚も鋭いのだろうか。 そう考えながらも拒否しなければ、その手を下ろさせなければと一人で思う。人間と悪魔は違う、どれだけ短い時間だろうとアネルの時間を自分みたいな存在が縛っていいものではない。分かっている、分かっているから拒否の言葉を口にしなくては。


「........いい、の.....?」


ポツリ、漏れた一言にやってしまったとただ思った。拒否することなんてできない、その手を下ろして欲しくないと思っている。無理矢理でもいいから、自分の手をとって攫って欲しい。人間をやめることになってもいいから、アネルの側にいさせて欲しい。溢れる感情と言葉は必死で止めれば、震える手をほんの少しだけ上げたまま、差し伸べられたては取らずに相手の返答を待った。冗談だと、そう言われれば潔く手を下ろそうとそう決意しながら。