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【桜屋敷 御倉/演劇部の部室】

初心だねぇ、と月下が呟く。確かに菓はいろいろと慣れていないけれど、それは初心というレベルに収まっているのだろうか。まず初心という言葉すら知らなさそうな反応をしている菓を見て、この子が小学生であっても驚かないだろうな、と笑みを溢した。


「悪魔、ですかぁ。……あ、私はそういうの信じてませんよぉ？神とか仏とか幽霊とか妖精とか、ありえないじゃないですかぁ」

壁に凭れながら、余裕ぶった笑みを浮かべて言う。幽霊なんて肉体が無いのに感情なんてあるはずもないし、神様がいるなら不幸な人がいるのはおかしいし。だからそんなものいるはずも無い。いるはずも無いから幽霊など怖がる必要もない。ただ億万分の一にでも存在したなら、怖がってやらないこともないだろう。


「……あ、や、やりにくいですか…？それなら私、月下さんが書きやすくて菓ちゃんが演じやすいの、考えますからっ」

ふと解釈が元のものとそれているのに気付き、慌てて月下に話し掛ける。月下が書きやすいものとは離れているし、これではせっかくの月下が言ってくれたの異常性癖の特徴が出ない。もっと異常で、不気味で、でも菓は暗すぎるものはダメで……。



【テスト期間に入ってしまったので、今もなのですが、あまり来れなくなってしまうと思います。すみませんっ】

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【初瀬 月下/演劇部の部室】



「信じる信じないは勝手だよ。演じてくれさえすれば、僕は人の価値観になんて興味無いから。」

余裕ぶった笑みを浮かべながらそう言う御倉を横目で見れば、「ま、僕も信じてないけど」と付け加える。人の価値観なんてそれぞれ、それにとやかく言うつもりは全く持ってない。月下からすれば、信じていようがいなかろうが演じてくれさえすれば文句ないのである。「信じてないので演じれません！」も言われたら、流石に少し考えものであるが。

「別にいーよ、気にしなくて。...今度そういう説明得意そうな人連れてくる、多分暇してるはずだから。」

書けない訳では無いから、御倉がそこまで気にする必要は無い。部長たるものどんなストーリーでも書けなきゃね、そう思いながらも鳴ったスマホに肩をビクッと上下させた。着音メロディは昔はやった「nightparade」のマイナー曲だ、周りからすれば月下がこういう系統の曲を聞くのは驚かれるかもしれない。が、仕方ないであろう。兄がそのバンドのメンバーだったのだから。

画面を見てかけてきた人の名前を確認すれば、深呼吸を一度して画面に指を滑らせ耳に当てる。いつまでたっても緊張するのは、素直になれていないからだろうか。


「...なんだよ。いきなり電話なんてかけてきやがって。」


【大丈夫ですよっ。あまりお気になさらず、勉強頑張って下さいね。】