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- Re: ・Seize the day『 長文推奨 』 ( No.23 )
- 日時: 2016/12/16 23:29
- 名前: Dietrich (ID: YTT42QuR)
>>22
了解しました! では、キリルで絡み分を投稿させていただきます。
絡みにくいキャラなのですが、よろしくお願いします!
ふと、目をあげた。しんと静まり返った研究所の中で、固い床や壁からひやりと冷たい空気がにじみ出ているような感じだ。ゆっくりと体を起してあたりに目を走らせる。これは、彼がこの研究所に来た当時から思わずやってしまう癖であった。
キリルは先ほどまで行っていた実験の結果をレポートに書き込み、その作業も手早く終わらせた。めまいのような眠気を感じ、目頭を押さえる。椅子の背もたれに体重を任せると、テーブルの上に投げ出されていた煙草を手さぐりで引き寄せ、口にくわえて火をともした。
ぶっ続けの実験は彼にとっては夢のような時間だった。昔からやりたかったこと、それをだれにも邪魔されず、ただ黙々と続けられる。こんなに幸せなことはなかった。この仕事を此処の人間は誰もとがめることはない。ただ少しばかり、食事をしろだとか、睡眠をちゃんととれだとか、そんなことは言われるが、それだけだった。結果はちゃんとついてきてくれる、実際に今、過去に積み上げてきたものがようやく輝かしい結果になろうとしているときだった。
唐突に表れた研究の道。その光に心躍らない研究者がいるわけがない。キリルももちろん、興奮のあまり、心臓が締め付けられるような感覚に陥った一人だった。
――それと同時に、彼は交流の必要性を知った。人から人へ知識が渡る、その重要性を知った。人との接触に興味を持ち、今まで通り引っこんでいる暇はないと理解した。自分では考えられないようなことを目の前のこの人物は知っているかもしれない。そう思うとどうにも焦ってしまう。今まで自分は何をしていたのかと、悔しくなる。
ため息をつき、紫煙を吐き出す。体制を戻し、煙草を口にくわえたまま靴を手に取った。少し高めのしっかりとした靴。それを脚に引っ掛けて立ち上がり、近くにあるカップをつかんで部屋を出る。
だからと言って、すぐに人になれるはずがなかった。キリルはまだ人とまともに目を見て話すことができないでいた。歯がゆい感覚を何度も味わいながら、全く成長しない自分にイラついた。もし妹なら、そんな思考はただ彼の神経を逆なでするだけだった。
薄暗い廊下を歩きながら、いまだ誰にも会わないようにと願う自分がいた。煙をくゆらせながら何か温かい飲み物でもないかと、給湯室を覗き込んだ。
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