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Re: Over alive【命を狩る者とそれに抗う者】 ( No.67 )
日時: 2017/08/13 22:05
名前: Hama (ID: SqYHSRj5)

【町中のコンビニ/赤荻 楓】


赤荻がチラチラと見ていた女性が、自分の隣で止まった。
それでも尚赤荻はチラチラと女性を観察し、女性が手に取った本などを確認していたりした。
その本の表紙を見て、赤荻は『この女性は日本語を完全に理解している』と確信する。そうでなければあんな小難しい本を手に取るわけがないと。
少なくとも、赤荻はそう思った。実を言えばそこには相違があるのだが、それに気づく由は赤荻にはない。

何はともあれ、だ。日本語を理解しているのならば問題はないと赤荻は内心でガッツポーズ。
まるでモデルのような外国人というだけでも興味が湧くというのに、その女性の歩き方には「これまで見たようなこともない何か」を感じた。それは漠然としたものであるので上手く言葉に出来ないけれど、それでもここまでくれば話しかけずにはいられない。彼女に話しかければ、何か面白い事があるのではないかと思えた。
とはいえ、日本語が通じないのであれば話しかけようもない。赤荻の英語力は壊滅的であり、駆使できる英文は中学の教科書にあった『I play tennis』くらいしかないのだ。「私はテニスをします」としか話せない状況で、どう話題を展開しろというのか。そもそも、眼前の女性が英語圏の人間であるかどうかすら疑問であったし。

そんな女性に、日本語が通じることを確信したのだ。これが内心とは言えガッツポーズせずにいられるか。
けれど、それならそれで新たな問題が出てくる。それは「どう話しかけるか」という事だ。

赤荻が信条としているのは『ユーモア』である。
ユーモアはインパクトとなり、相手との距離を格段に近づかせることが出来ると赤荻は確信している。……結果としてそのユーモアが、『こいつはやばい奴だ』と思われる要因になっているのだが、そのことに赤荻は気付いていないい。
まあそんな信条のもと、赤荻は本を棚に戻すと女性をしっかりと見据え、数歩近寄った。
そして、放つ。ドヤ顔をぶら下げて、彼女なりのユーモアを込めた言葉を――


「ヘイヘイそこの可愛いカノジョ! これから私とお茶しない?」


これは彼女なりに精一杯考えた言葉である。
相手が外国人であるのならば、ホコリをかぶるどころか化石と化したような日本のナンパ文句が、一周回って言いようのなくシュールな言葉になるのではないかと。
そんな考えの結果として、十人みればほぼ十人が思考を停止するような言葉が赤荻の口から飛び出たわけだ。