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【ご説明】


　今から６０年程前の話だ。
　きっかけはある国が試験管の中である菌を生み出したことだった。

　その菌には生き物の細胞に特殊な働きかけをする力を持っていてな。その菌……【狂化菌】は生き物の生存本能を活性化させ、体を巨大化させることができるんだ。

　その国は当時財政難で世界の中でも没落した国って言われててなぁ、戦争がしたかった、自分は強いんだぞって見せびらかしたかったのさ。当然【狂化菌】はその国の兵士に使われて、兵士たちは強くなった。見事その国はどんどん大きくなったのさ。

　しかしほかの国も指をくわえてそれを見ているわけじゃあなかった。【狂化菌】をどんどんいろんな国が利用していった。そして進化して進化して、ついに【狂化菌】を利用した生物兵器まで作られたんだ。

　まぁ【狂化菌】にも弱点はあってだな、一つは感染したものの寿命を極端に食うこと。まぁ３０年ぐらい生きていられたら奇跡だなって感じだ。

　そしてもう一つ、それに感染した瞬間におぞましい幻覚を見るのさ。トラウマというやつに似ているな、脳の中をムカデが数千匹のたうち回るような感覚だ。その幻覚に負けた人間は理性を捨てざるを得なくなる。半数の奴はショックで死んじまうが残りの半数は理性を捨てた化け物になっちまうんだ。

　生物兵器はそこを利用した。とある国がとある国にその生物兵器をばらまくと、国民の半分は発狂して死に絶え、残りの半分が化け物になってその体を食っちまう……そんな地獄がこの地上に生まれちまったわけさ。まぁ相手側はそれを見て満足したんだが、一つ、誤算があった。

　その【狂化菌】が世界に広まっちまったんだ。人間は次々に死んだり化け物になった。動物にしても同じだ、犬や猫がバカでかくなって人間を襲うようになった。

　人間は知恵を絞った。このままでは全滅だ。そこで【狂化菌】を使った軍隊を作ることになったんだ……化け物には化け物で対抗するってこったな。化け物の軍隊は再び人間の土地をかすかながらに取り戻し、生きている人間はその場所に都を築いた。高い壁で区切って平和な世界を……小さな小さな人間の世界を取り戻したってわけさ。
　

　【世界観】
　６０年前にばらまかれた【狂化菌】によって生物が巨大化、狂暴化した世界。人々は大きな壁を築いて小さな都を世界各地に作り上げた。


　舞台はアメリカのとある場所に作られた小さな五角形の形をした都、「サクリス教会地区」です。小さいとはいえ、大きな町ほどの大きさがあり、この中で人々は自給自足で暮らしています。文明は衰退し、１９００年ぐらいの技術しかありません。通常の移動手段は馬車、のような感じです。

　都の真ん中には日常品を扱う店が並んでおり、大変にぎやかです。その周りを囲むように高級住宅地、その少し外に住宅地、その周りには農場などが広がっています。五角形の辺に当たる場所には大きな門があり門番が常に守っています。外に出ることもできますが一般人は好んで近づくことはありません。中心街を離れ、壁に近づくにつれて貧民層が増えていき、治安も悪化してきます。