オリジナルなりきり掲示板
- Re: 【中文推奨】かみさまのラルム【募集開始】 ( No.44 )
- 日時: 2017/10/26 17:49
- 名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)
>>43
【緑の草原にて/アズライト】
名前を呼んだがすぐには反応がなかった。アズライトはそんなにおかしなことをしただろうかと首をかしげた。ただ気まぐれに声をかけてみただけでそこまで驚かれるとは意外であった。確かに彼自身冷たい雰囲気を宿していることは自覚していたのだが、声をかけるだけでそんな変な反応をされるとは思っていなかった。
何秒も間をおいて、ヴェールニルが恐る恐る答える。
そう言えば向こうに会ったのはほんのわずかな間だけだったから覚えられていなかったのかもしれないなと彼は思い至った。ちっぽけ記憶である、ただすれ違っただけのような、どうでもいい記憶である。
彼でなければ、忘れてしまっても当然のような。
彼女はハーブを探していると言った。確かにその籠にはハーブでないものがわんさか入っていたが、肝心のハーブは一つもない。この草原には本当にたくさんのものがあるから、肝心なものを見つけられなくても当然と言えば当然のことなのかもしれない。
彼はここを何度も訪れた経験があるから、ハーブの自生地なんてすぐに脳裏に閃いた。
彼は言った。
「ハーブ、か。様々な種類があるけれど……一般的によく使われるのがあるのは南へ少し行った方だ。僕は他にやることがないからな。折角だし案内してもいいが、どうする?」
そう提案した。
いつもの彼ならばこうやって積極的に人と関わろうとはしないのに。そもそも声自体かけずに素通りしたろうに、穏やかな草原の成せる魔法か、今日の彼はいつもとは違った。
そう、いくら冷たく凍りついたって。氷はいつしか溶けるもの。どんなに冬が長くとも、いつかは必ず春が来る。春の来ない年なんてない。待てば必ず春が来るのだ。
彼だってそろそろ、溶けるべきだ。彼の悲しみもすべて、過去のことなのだから。
今を見なければ。
「……春が来る……」
空を見上げ、アズライトは誰にともなく呟いた。
総合掲示板
小説投稿掲示板
イラスト投稿掲示板
過去ログ倉庫
その他掲示板
スポンサード リンク