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- Re: 【中文推奨】かみさまのラルム【募集開始】 ( No.48 )
- 日時: 2017/10/29 11:09
- 名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)
>>47
【緑の草原にて/アズライト】
辛いことも嫌なことも三分の一以上忘れてしまった、という彼女の言葉。その言葉を聞いて、アズライトはどこか羨望のようなものを抱いた。
彼は考える。「ずっと忘れられない」のと、「大事なことまで忘れてしまうかもしれない」のと、どちらの方がつらいのか。アズライトの心の中には確かに忘れたくはない記憶もあった。しかしその記憶のほとんどは、最終的に悲劇に直結する記憶。
だがしかし。彼には確実に、平和で幸せだった日々があったのだ。
そっと目を閉じれば。何よりも鮮烈に、まぶしくて思わず目をそむけたくなるくらいに輝く記憶が確かにあった。それは彼にとっては宝石のようにきらめく記憶で、絶対に忘れたくはないものだった。
もしもそれを忘れてしまったらと考えると、背筋が冷えるような感覚を彼は感じた。
忘れることと、忘れないことと。
悲しみも苦しみもすべて覚えておくことと、喜びや楽しさを忘れてしまうことと。
どちらがいいかなんて、答えられない。どちらもそれぞれ、良い点と悪い点を内包している。
「……結局、今のままの方がいいのか」
彼はそう、結論付けた。
忘れられなくても、あの宝石のような記憶を忘れてしまうよりはずっといい。
喜びも楽しみも、怒りも悲しみも。忘れずに背負っていった方が、いい。
自分の提案に喜ぶ彼女を見ると、彼は少し嬉しくなった。
冬が近づくというのに、その心は穏やかな初春。
しかしその後に続けられた言葉を聞いて、彼はそれを静かに否定する。
「僕は優しくなんかないさ。僕は氷だ」
ずっとそうだったのだ。人との交わりを避けて図書館にこもった。人と関わることを恐れ、自分の心に氷を張った。優しいのか、と問われれば彼は答える。僕の何処が優しいのか、と。彼は自分を冷たい人間だとしか思ってはいなかったから。
彼はふっと微笑んだ。
「普段の僕ならこんなことは絶対にしない。……君が優しさをくれたんだ。意図していなくても、君のそのひたむきさが、僕の氷に溶ける機会を与えた」
君にここで出会う前までは絶対に溶けない永久凍土だったよ、と彼は言う。
彼の持つ色は青だ。冷たい青だ、凍りついた青色なのだ。春が似合うのは彼じゃない。温かく優しい薄黄緑色したヴェールニルの方だろうと彼は思う。
冬が好きだと彼女は言った。冬の暖かさが好きなのだと、目を細めて笑った。
だが彼は思う。春が似合うのはヴェールニルで、冬が似合うのは自分の方なんじゃないかと。
だからそれがおかしくて、思わずこうつぶやいた。
「……何だか、ちぐはぐだな」
しかしあの冬の冷たい景色の中に彼女のような温かい色がいるというのもなかなか似合うかもしれない、と彼は思いなおした。
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