オリジナルなりきり掲示板
- Re: 【中文推奨】かみさまのラルム【参加者募集】 ( No.61 )
- 日時: 2018/01/22 23:14
- 名前: 宝治 ◆wpAuSLRmwo (ID: fQkNQwJA)
>>60
【青の氷原/ゼフィール】
作業日誌に今日の記録をしたためたり、道具の数を確かめたり、細かな後始末をつけていると、監督者はどうしても帰りの時間が遅くなる。
――けれど、時々、残業に見合う対価を得ることがある。
「こんにちは、ミッドナイト」
遅くなった帰り道でばったり出会った彼は、氷原で仕事をする者達の間ではしばし話題に上がる男だった。
その取りまとめ役たるゼフィールだが、噂の人とまともに対峙したのは今日が初めてだった。やっと会えたという謎の感慨すら芽生ている。遅くまで残ったかいがあったというもの。
「僕はゼフィール。おそらく、初めまして」
他愛ない立ち話をしている間にも、雪は全てに等しく降り積もる。ゼフィールご自慢の黒皮のブーツがもはや白長靴に見間違えてしまうほどだ。
ミッドナイトは彼なりの言葉で帰るように促してくれた。
地面をトントン蹴って雪を払いながら、ゼフィールは言葉を返した。
「そういう貴方こそ、これから氷原散策かい?……あまりおすすめしないけど。今から行ける範囲にあるめぼしい氷柱は、あらかた僕らが切り出しちゃった。もう、小さいやつとか、ちょっぴり濁ってるやつしか残ってない」
なんとなく、ミッドナイトの表情を見るのが怖くてゼフィールはうつむき加減になった。仕事とは言え、少しだけ気まずい。
定かではない噂によると、目の前の彼は、異性に向けるような愛情を氷柱に向けてやまないと言う。
(もちろんどんな氷でもいい訳でもなく、彼には彼なりの水準があるのだろうが。)
そのミッドナイトが愛を注ぐ対象に対して、ゼフィールは産業的価値しか見いだせない。
売れたらいいもの、売れなかったら邪魔なオブジェクト、くらいのものである。監督者としては至極真っ当でドライな価値観だが、ミッドナイトの前でもこの信条を豪語できるほどの無神経さは、あいにく持ち合わせてなかった。
……会話に少し間が生まれたのでゼフィールは急いで言葉をつなぐ。
「ねえ、ミッドナイト。初めてあった印として今夜一緒に食事をするというのはどうだろう。なんせ僕達は神様の涙。永遠に続く一生だもの、二言三言話しただけではすぐに相手を忘れてしまって、次会う時にまた"初めまして”から始めるハメになる。だからせめて向こう百年は互いの記憶に留まるように、いろんなことを語るのさ」
この申し出は断られても良かった。もしミッドナイトがさらに奥へ行くつもりなら無理に止めようとはしない。氷原との付き合いならば彼の方が一万年ほど長いのである。下手なことは起こるまい。
ここから少し遠くなるけれど、未開発のエリアを教えてあげようと思う。
――彼が再び恋人と出会えることを祈って。
【ミッドナイトさんともお話してみたかったのでうれしいです!】
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