オリジナルなりきり掲示板
- Re: 【中文推奨】かみさまのラルム【参加者募集】 ( No.63 )
- 日時: 2018/01/30 23:41
- 名前: 宝治 ◆wpAuSLRmwo (ID: fQkNQwJA)
>>62
【青の塔/ゼフィール】
塔へと帰還したゼフィールは仕事着から私服に着替えるためにいったん一人で自室にこもる必要があった。凍りついたコートをハンガーに吊るし、濡れたズボンを脱ぎ捨てる。クローゼットから取り出した着替えを羽織るとようやく体温が戻った気がした。
ミッドナイトにはあらかじめ塔の中で落ち合う場所を伝えている。それにまだ時間には余裕があるようだ。ゼフィールはすこしゆったりした気分で自室から外にでた。
皆が集う共有スペース。
青の塔の内装は、赤や緑のものと比べるとやや無機的で無駄な装飾がない。それを殺風景と捉える者もいるけれど、ゼフィールはおおむねこの機能的なデザインを気に入っていた。
暖炉のすぐ近くのテーブル席に腰かければ、一日の仕事の疲れがどっと噴き出すようである。(といってもぼんやり切り出し作業を眺めるだけの一日なのだが)
せっかく初めて共にする食事なのだから、いきつけの酒屋でうんと高い酒を一杯ひっかけたいところではあったが、中央街までの距離を考えると断念せざるをえず、結果として青の塔以外に選択肢はなかったのだった。
雪原入り口にて交わされた簡単な食事のお誘いを思い出しながら、ゼフィールは約束相手の訪れを今か今かと待っている。
ミッドナイト。真夜中のミッドナイト。群れの中で監督者としてふるまう自分からすれば、氷柱を追う彼は孤高の人だ。
だから、今日得られた機会を、ゼフィールはとても特別なものだと感じていた。価値観の違う他人と触れ合う時、自分の世界は広がる。
(何を話そう。やっぱり氷柱のことだろうか?それ以外に話せることはなんだろう?……ああ、やっぱり僕はミッドナイトのことを全然知らない)
例えば、彼の好きな食べ物だって知らない。
だからテーブルには支給された食事の他、仕事仲間からおすそ分けしてもらった輸入品のサラミや、自分で買ったドライフルーツなどが手当たり次第に並べられている。
ゼフィールなりに歓迎の意を示しているつもりなのだ。こんな時、常日頃から料理をする者なら、有り合わせの素材で温かいものを振舞うのだろう。
(あたたかい、りょうり、か)
ふと、脳裏にあの人の後ろ姿がよぎった。
――今日もあの人は、あの家で、オムレツを焦がしたり砂糖と塩を間違えたりしたのかしら。それから包丁で指を切っていないといいのだけれど。
陶器やガラスは割れると怖いから木の椀を使ってくれると安心するな。……――
変に思考が飛んでしまい、ゼフィールは露骨に眉をしかめた。危なっかしい姉の世話が嫌だからと別居を選んでいるのに、気づけば彼女の心配ばかりな自分に嫌気がさす。
誰かが暖炉に新しい薪をくべた。ぱちぱちと火花がはぜる音がした。
【中途半端ですがここで区切る!】
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