オリジナルなりきり掲示板
- Re: 【中文・長文】かみさまのラルム【参加者募集】 ( No.89 )
- 日時: 2018/06/20 21:41
- 名前: 宝治 ◆wpAuSLRmwo (ID: iihmFlhR)
>>88
【図書館/サラテリ】
「あらレッド。久しぶりに会ったというのに、馬鹿とはご挨拶ねえ」
私はぐてりと寝返りを打った。ソファの前に立ちはだかる紅が、モグラの私にはまぶしい。
「相変わらずお堅いなあ、君は。いいの、いいの。ここの子達はみんな優秀だから、私一人くらいサボってたってなにも問題ないの」
しかし、私のくにゃくにゃした言動について部下達とレッドは同様の意見を持っているらしい。
無理もないか。レッドと私について回る肩書はまがりなりにも「赤の塔の管理人」と「図書館の管理人」である。今回の彼女の訪問が私的な用事であるとはいえ、部下はそれなりに気を揉んでいるのだ。心底真面目である。ここには私以外に怠惰を好む者はいない。多勢に無勢である。参りましたとばかりに上体を起こそうとした。
座る・寝るという動作に慣れ切った私の体は起床だけでも多大な労力を払わねばならず、脳みそへ行き渡るはずの血流が急激に押し戻される感覚を味わう。無様な私を後目に、レッドは仁王立ちのまま新しいラルムが生まれたことを伝えてくれた。
「ええ、もちろん喜ばしいことですとも。我らの仲間がまた一人増えたのだから。島に色が増えてより一層、我らは美しくなる。何十万年と繰り返してもこの儀式だけは常に私に新しい何かを感じさせてくれる」
そして、何を失ったかを、思い出させてくれる。
あの「本」が私に伝える新生ラルムの名は、同じ日に死んだラルムの名の、すぐ下にあるから。
その法則を、私は誰かに教えられたのか?自分で見出したのか?それとも生まれながらに知っていたのか?
今となっては忘れてしまった、どうでもいい原初の記憶。
「それにしても生まれたのは青の塔の子だというのに、赤の君がご存知とはね。何か縁があるのかな。ふふ、面白い。
迷っていなければそろそろたどり着く頃合いかしら。……部屋の準備をお願い。鍵は私の机から持ち出して構わない」
最後は部下に向けて。彼らは黙礼の後に音を立てず部屋を後にした。
さて、新しいラルムを歓迎するにあたり、服装から何から正さねばなるまい。
壁掛けの鏡には、髪飾りをとんちんかんな位置につけた寝ぼけ眼の娘が、ソファの背にもたれかかっている。
……馬鹿との罵声も甘んじて受け入れるべきだったか。私は最後に大きく欠伸をしてから立ち上がった。
「ねえ、レッド。よければ名づけの儀式に立ち会わない?」
【ノープロブレム!】
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