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Re: 【一周年!】かみさまのラルム【参加者募集】 ( No.96 )
日時: 2018/07/25 22:43
名前: 宝治  ◆wpAuSLRmwo (ID: iihmFlhR)

>>91

【図書館/サラテリ】

櫛を手に私を急かすレッドの声を聞いて年甲斐もなくうれしくなってしまい、従順な飼い犬みたいに頭を彼女に預けた。
レッドは私よりも小柄だけどこういう時はお姉さんなんだよな。十万年単位で年を重ねるともはや年齢の概念を適用すべきかどうかの判断すら危ぶまれるのだけど、「時々ちょっと甘やかしてくれる年上のお姉さん」という存在は私の孤独をひと時だけ慰めてくれるのだ。
櫛が、心地よい強さでもつれた髪を通り過ぎていく。一見して強固で暴発的な寝ぐせはしかし、一本一本が柔らかくて腰の無い髪質(この性質は本人の性格に似るのか?)であるため、たちまちレッドの前にひれ伏していつも通りの位置に戻っていく。

「うまいもんだ」

レッドに向けて、手鏡越しに笑いかけてみる。
私は自分の色をあまり好ましいとは思っていない。茫洋とした薄い緑色で鮮やかなわけでも個性的でもなく、挙句の果てに意味が“孤独”だなんて、あんまりだと思ったことも長い人生の中ではあった。
……だがもちろん、この主張の無い色を誇らしいと思うところもある。それは誰かの色と喧嘩をしないという点だ。今も鏡の中でレッドの赤に私の色はうまく溶け込んでいる、気がする。私はそれを確認してもう一度笑みをこぼしてしまった。

仕上げにリボンを結びなおし、ワンピースの皺を正して、身支度は終わった。
時をほぼ同じくして部下が報告を伝える。部屋の準備ができたことと、今日もっとも歓迎すべきラルムが図書館に訪れたことを。

「よし!時間通り。優秀な部下の諸君があの部屋の準備をしてる間にレッドが私の髪を整えてくれて、新しい子がここに到着した。ほんと、みんなすごいわねえ。全てがタイミングよく進んでいくんだもん」

私はほぼ座っていただけだということは口に出さない方がよい。

「それじゃあレッド、行きましょう。生まれたばかりのラルムはいったいどんな色かしら。あの部屋で不安になってないといいのだけれど」