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「兵器の性能には“誰にでも扱える”ってのも含まれるからな」

　国民国家の発達と教育の統一化は兵士の質を確かに底上げしたが、それも彼らが人間である以上は整備性と操作性は重量に並んで重要な問題点であった。
　慢性的にものが不足しがちな戦場では尚更だ。

「……そういや、レオンさんもマリーニさんもさっきから妙に表情が暗いですよ。どうかされたんですか？」

「ん、ああ、顔に出てたか」

　イリアスも二人の表情に気付いたのかマリーニに尋ねる。
　レオンとマリーニは互いにちらと目配せすると、レオンが口を開いた。

「この小銃と弾薬な、持ってきたのは帝国の業者だが、実質的に仕入れたのはこの国の業者だ」

「この国の？」

「ああ。仲介を指定してな、情報の隠匿に大分気を使った」

「はあ……？　すると、誰なんです？　その、この国の業者ってのは？」

「南部の連中だよ」

「は？」

「連中の調達能力を調べることも兼ねて、南部の連中を介して密輸させた。結果はご覧の通り、これで南部の連中もこの小銃と弾薬をいくらでも調達できることが分かったよ」

　イリアスが思わずマティの手の小銃に目をやる。
　荷馬車の中のと併せて最新鋭の軍用小銃が18挺、そしてそれに使う最新鋭の弾薬が1200発。
　“敵”もこれをいくらでも用意できるらしいというのだ。