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>>54

クリスはこの組織に入ったばかりの頃、まるで字を読むことが出来なかった。
けれど、この組織に引き抜いてくれたある人物から『仕事に支障をきたすから、読み書きくらいは出来るようにしておけ』と言われてから馬鹿なりにコツコツと勉強し、今では何とか形になっている。

「はい、読めるッス！」

自分が頑張って覚えたものが役に立つ。
それが嬉しくて、クリスは満面の笑みでそう答えた。
けれど、その嬉しさで胸がいっぱいになってしまった事で、『上司がタバコを出したときに火を出す』といった初歩中の初歩すら失念してしまっているが。