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>>76

「おや、それは私の言葉を聞き入れてくれる場合もある、ととってよいのかね？」

　アンナの言葉に微笑を浮かべながら驚いたような声色を作る。
　正直自分の言葉を真に受けても聞き流しても構わないのだが、彼女の反応は自分にとって少しばかり意外なものであったのは間違いなかった。

「君の人生は君が取捨選択していけばよいのさ。不要なものは切り捨てる、良い選択だと思うよ」

　開かれる扉を見ながら、そこまでしなくてもよいのにと笑みにかすかな苦い物が混じる。何もかも一人でできなくなるのはまだ先の話にしておきたい。
　彼女にとっては気づかいなのだろうか、それこそ、彼女の求めない地位を持つ自分の立場をみた行動なのだろう。その心遣いも時には複雑な気持ちをもたらすものだよ、とそんなことを心中で呟いていた。

「ありがとう、アンナ。私は自分の仕事に戻ることにするよ。君も自分のやりたいことをやってきたまえ」

　アンナに微笑みかけながら、フランシスコは屋敷の中に入っていった。



　お付き合いありがとうございました！　ここは一旦別れたということで勝手に終わらせていただきました。
　もう一人追加したいと思っているのですが能力の代償として言葉を話せないという設定は大丈夫でしょうか？　いろいろと不便になると思うのですが、主なコミュニケーションは手話と筆談となります。