オリジナルなりきり掲示板
- Re: CREEPY HOUSE in the Dark【募集開始】 ( No.16 )
- 日時: 2017/10/10 00:28
- 名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)
【絡み文を投稿していいのかはわかりませんが。
とりあえず投稿してみます。
何かありましたらお申し付けください。
ちなみにルファは来たばかりの設定です。これは彼の前日譚……】
◆
「何で言うことに従わないんだッ!」
迫ってきた大きな手。
紫色の少年は、殴られて大きく吹っ飛ばされた。
彼は、自分を殴った相手――父親を見る。その隣では、母親がヒステリックに叫んでいた。
「あなたは死んだあの子の分も、頑張らなくちゃいけないのよ! 医者になりたくないですって? 勉強したくないですって? そんなこと――あの子は、ファビオは絶対に言わなかったのに、お前はなんてことを!」
「……もう、いいよ。僕は、要らない子なんだろ」
殴られた頬を片手で押えながらも。少年は冷めた目で両親を見た。
自分に期待ばかりしかしない両親。いつまでも死んだ兄の面影を求め、兄とは全く違う人間である彼にさえ、兄になれと、兄と同じ道を行けと強要する両親。
彼にはそれが、ひどく滑稽に見えた。
馬鹿みたいだ、と思う。
いくら弟に兄を投影したところで。死んだ人間は戻ってこないのに。
紫色の華奢な少年は立ち上がり、痛む頬を押さえながらも歩き出す。
その背を「滑稽な人たち」が呼びとめた。
「どこへ行くんだ!」
「勝手な行動は許さないわ!」
勝手な行動。ならば彼が自由を求めようとすることは「勝手」なことなのだろうか。
子供は親に逆らってはいけないのか? おかしいだろう。
だから彼は。これまで親に従順だった彼は、その時初めて牙を剥いた。
そう、抗え。大人たちに支配されるな!
彼は馬鹿にし腐った口調で、こう答えた。
「なぁに、ちょっとした家出だよ」
◆
親の目を盗んで当面の生活費を盗み、彼は走って家を出た。
そう、これから家出する。おそらくもう、二度と戻ってくることはないだろう。
彼にとってあの家は。確かに彼自身の生家ではあるけれど。
しかしそこが彼の居場所になるとは、思えないから。
走って走ってひた走る。胸が苦しくなり、喘息の発作が出そうになってもまだ走る。
生憎その日は雨で、濡れた雫が彼の体温をどんどん奪っていった。
それでも彼は逃げなくてはならなかった。できる限り、あの家から遠く離れた場所に行かなくてはならなかった。そうでもしなければあの家に連れ戻されると。そんな強迫観念があった。
「はあっ、はあっ、はあっ……」
しかしその足はやがて動かなくなり、彼は膝に手をついて大きく何度も何度も呼吸した。
昔から、走るのは得意な方ではない。こんなに走るのは久しぶりだ。
そして何となく目を上げた先、石造りの壁に偶然見たのは。
『入居者募集中』の文字。
赤いチラシに、でかでかと踊る文字。
彼はハハハと乾いた笑いを洩らした。家出をしたから居場所を探していたのに。案外簡単に見つかったようだ。
彼はゆっくりとそのチラシに近づいて行き、書かれた内容を読んだ。
「……人外? 吸血鬼? ハハハ、そんなの……」
彼は知っているから。人外よりも恐ろしい存在を。
彼は小さく呟いた。
「……そんなの、人間に比べれば怖くも何ともないだろ」
脳裏に浮かぶは大嫌いな両親。
人外なんて、怪物なんて。実際、人間よりもたちが悪くはないだろう?
家賃を見る。盗んできたお金を見る。
彼は安堵の溜め息をついた。
家賃は格安、持ってきたお金はそれなりに高額。これなら当分はここで過ごせそうだと判断し。
書かれた住所を見てから、彼はそこに向かって歩き出した。
自ら抗い、家を出た。だから彼には帰る場所がないが。
「……場所がないなら、作ればいいのさ」
そう、不敵に笑った。
ザアザアザアと雨は降る。早くたどりつかないと風邪を引く。
振り返ればもう、見知った町はその場になかった。彼は走るうちに全く知らない町にたどり着いた。
それでも、迷わない。だってそこの住所はこの現実世界にないから。
――もう、帰らないから。
過去に訣別の挨拶をかわし、彼はその先へ足を踏み入れた。
◆
豪奢なアパートメントが見えた。ああ、たどり着いたのだと彼は嘆息する。
「……ここがクリーピーハウス……」
感慨深げにその外装を眺める。
どこかおどろおどろしい感覚は拭えないが、彼が思っているよりも綺麗な所だった。
彼はその入り口を叩いて、自ら名乗る。
「こんにちは、誰かいませんかー? 新規入居希望のルファ・アルテュセールです。誰かいませんかー?」
これから新しい日々が、始まる。
◆
【こんな感じでよろしいでしょうか】
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