朱楽「やー今日も暑いじゃねえの」 夏も本格的になり始めた頃、昔ながらの店の引き戸を開けながら不意に空を仰あおぎ見て感傷かんしょうに浸ひたっているかのように呟く。今年も相変わらず暑く去年とあまり変わらない気温で自分はまだ人型ひとがたの妖だから人並みになれてはいるが不意に頭に過ったのは他どうぶつの妖のことで(こりゃ動物ほかの妖ひとにはちいとばかし酷こくかもなあ)と心配するように思いながらも店の準備として店の外、端に『営業中』と云う立て札を立てて、店の中へ戻ろうと踵きびすを返した
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