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>>158
「ゲタ……靴を無くしたのかい？」

どうもサラの世界とイルアのいた世界は言葉が違うようだ。サラの言葉から何となくではあるが意味を汲み取った。

「お金がない……いや分からない、か。そうだ、あたいはちょっとした店をやってるんだ。賑わっていないのは事実なんだけどね……。手伝いと、この世界の勉強を兼ねて働いてみないかい──」

言い終わるか言い終わらないうちに、謎の声が聞こえた。声の主はatのようだが、彼の声ではない。

「at？喋れないはずじゃ……？しかも、何故、女性の声……？」

目の前では意味の分からない単語がズラズラと並べられる。精巧な機械など存在しない町に住んでいたイルアには、サラの言う事など分かるはずがなかった。

しばらくして、女性の声は今の状況を話し始めた。この世界を知らないサラに説明をしているのだろう、とイルアは判断した。その説明はよくまとまっており、自分ではこんな説明は出来ない、と機械の力を思い知ったとともに、彼が居て良かったとも思った。

簡単なお茶会でも開こうと道具一式を取り出すと、サラは不思議な顔になった。

「（ユノミ？キュウス？）う、うん。お茶だよ。疲れてるだろうからね。ほら、『ちょっとした店をやってる』って言っただろう？お茶の店をやってるんだ」

一緒にどうだい？とカップを持ち上げた。