ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作小説、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

「ああ、じゃあそれがいい。店の物じゃなくても、美味けりゃいいだろう。」

生憎、自分に”美味い”等の感情はわからない。舌が味を感じていても、それがなんなのかがわからないのだ。だから、食べれる物であれば正直なんでもいい。とはいっても、これは無礼になるのだろうが。

「余り物には福がある、って聞いた事もあるし。」

････どこの、誰に聞いたんだろうか。いや、きっと誰かに聞いたんだろう、と話をそらそうとしても、頭は考えるのをやめないあの少女に？自分を作り上げた者に？それとも情報なのだろうか。ふとイルアの方を向けば、”atじゃなければどうするんだ”なんて声が響く。彼女は気付いているのか、はたまた偶然か。”もうすぐ俺じゃなくなる。”なんて言ったらどんな反応をするんだろうか、と興味は沸くが、言葉は喉で突っかかって出てこない。

「それはないだろう。同じ顔の者がそう何人と居られても困る。」

冗談めかしてそう言うが、”俺が俺じゃない”という点ではあっている。もし俺じゃないのなら、出会えて良かったといろんな人が言うものだ。「まぁ、次会う時には”別人”になっているかもしれないが。」そんな言葉を飲み込んで、必死にでてこようとする言葉を、縫うように喉の奥に縛り付ける。