ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作小説、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

【時間帯を合わせた方が良いかもしれませんね。夜って事でいいですか？】



イルアは一度店に戻った。何があるか分からないので、大きめのバッグの中に薬や包帯などが入った救急箱やお茶の道具を入れる。

探偵さん、つまりアロンに渡す予定の茶葉は日が暮れる前に届けたいと思い、バッグを持って事務所に走った。しかし彼らはいない様だったので、

『ハーブティー屋のイルアです。お茶を届けようと思っていましたがいらっしゃらなかったのでポストに入れておきます』

とメモを書き、茶葉と共にポストに入れた。


ふと路地裏の地面を見ると、点々と赤い染みがあった。それは人気ひとけの少ない方へ続いていた。

（血液か……）

間違いなく怪我人がいると踏んだイルアはそれを辿って行った。
日は暮れ、薄暗くなり始める。
血痕の途切れた先を見上げると、古い建物が建っていた。暗がりの中に建つその建物はまるで幽霊が出そうな雰囲気で──。

『最近、町外れのアパートメントに女の幽霊が出るらしいぜ』

客がそう言っていたのを思い出した。
（いや、幽霊なんかに怯えてられないって）

首を振り顔を上げて、大声で呼び掛けた。

「あのー！怪我人は！怪我人はいらっしゃいますかーー！」