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【ALL文】

渋谷区歌舞伎町。
人様が色欲を湧かせるライトを浴びながら歩く魅惑溢れた街。渋谷区周辺はビジネスマンが真面目に出勤し、堅物で、疲労困憊する社会の表面を主張する都市部で働く者達にとってここは娯楽と遊楽。掃き溜めたストレスを吐くには持ってこいの場所だ。スナックやラブホ、ホストなど風俗としても此処が一番数が多い場所だ。それに比例する度にヤクザとか裏社会が回してるなんざ耳にタコができる位に話が舞い込んでくる。
とくに自営している小さなスナックバーなんて如何にもなジジイが愚痴しに来るだけだと言うのに、ヤクザの巣呼ばわりされる事が多々あった。
そんな歌舞伎町も、今となっては夜になっても綺麗なライトを浴びる事はなくなった……。
錆びれた街中で、寒い空っ風を吹かせながら、風化していくこの歌舞伎町をカラカラと転がる小さな空き缶。
それを私は手にとり、近くのゴミ缶に投げ入れる。
歌舞伎町から見える傾いた大ビルを見上げ、私はぐっと手に拳を作る。

「………今日も今日とて、生きますか……」

小さなスナック店の天灯を付け、私、台南空悟は歌舞伎町の見回りに出かける。