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Re: 【SF・ファンタジー】蒸気の国は世界の終点【募集中】 ( No.20 )
日時: 2018/03/06 23:32
名前: ろっか (ID: gF4d7gY7)

【ハンナ・アルフォード/貧民街と城下町の境にて】



「あらぁ、随分賑やかですね」


ハンナは感嘆の声を漏らした。
二週間以上前から此処、スチームランドを訪れていた彼女は審査官から入国許可を受けたその日から盗難に遭った。貧民街では数歩歩けば道端で具合を悪そうにする幼い子供達がいた。声をかければ怪訝な顔をして逃げ出す者もいたが、反抗する気力すらもないような子供がいた。その様なもの達に治癒魔法を施し、そうして歩きまわっていたのだ。そんなハンナを見た空賊らは、いいカモだと思ったのだろう。道すがら唐突にハンナの杖を強引に奪い去っていった。まぁ勿論4日で“返してもらった”のだが。
それからも数度盗られたが、一日ほどで返してもらえたそうだ。
そうして漸く城下町へと到着した。

ふ、と後ろを振り返る。賑やかな城下町とは裏腹にしんと静まり返った貧民街。城下町の人々は、決してそちら側を見ない。それを見て何を思うのか、それはハンナ本人にしかわからない。

貧民街から出てきたハンナを怪訝そうな顔で数人がみる。が、ハンナの身なりから聖職者だと気がついたのか、慌てて頭を下げるのだった。ハンナはそれをまた優しい笑顔でみると、深々と人々に頭を下げるのだった。
そうして町中を人混みに流されつつも進むハンナは辺りを見回し、時計屋を探した。スッと右手の上にチャリと音を鳴らしてとある物をだす。手のひらサイズの懐中時計時計は、針が止まってしまっている。と、気を抜いていたその一瞬で、左手が軽くなるのを感じた。



「おや?」


これで何度目だ。煌びやかで遠目でもわかるほどの大きな杖を人混みの中でハンナから奪い取って見知らぬ少年は走っていく。けれどもハンナ全く慌てた様子もなく、手のひらを空へと掲げる。その手の上にふわりと光の玉が浮かび上がると、慣れた手付きで人差し指でくるりと回し、先程の少年の向かった方へと向ける。すると光の玉は光の欠片を零しながら彼の進んだ方向を示した。人混みに消えられると少し困るなぁと呟いて、その欠片の後を落ち着いた様子で追った。全く困った表情ではないが。




【ハンナちゃん出陣します。絡みに来て頂けたら飛んで喜びます。】