オリジナルなりきり掲示板
- Re: 放課後オカルティカ ( No.24 )
- 日時: 2018/05/15 21:37
- 名前: 初心 ◆bl6ZE9uvAk (ID: c1sce1kV)
【PC3/古沢友宏】
唐突に現れた邪魔者に、視線が集中する。彼らの思惑は読み取れないが、歓迎されていないことは確かだろう。肌で感じる敵意には今でも慣れなくて、笑みが引きつってしまう。胡散臭い連中を相手にすることが生易しいものではないことを知った友宏はこのまま引っ込んでしまう……かに思われたが、白銀礼の緊張をほぐす狙いと人嫌いでは無い性格が場違いな対応を生んだ。
「そうです、これでも一応風紀委員をやってるんです。いやあ何と言っても、名前を覚えてもらえるのは嬉しいものですね。オカルト同好会部長の影井君ですよね、お噂はかねがね聞いていますよ。先輩は宗教研究会の方ですね、清掃活動をされている。それから……」
間の抜けた口調で身振り手振りも交えながらおしゃべりをしてみせる。それぞれの顔を見ながら、事前に得ていた情報と勘で、所属先を言い当てる。しかし情報の少ない仁江野姉妹に関してはそれが出来ずに目を泳がせ、“すみません”と素直に申し訳した。人の名前を当てずっぽうにするのは失礼を重ねてしまうと判断したのである。このようにして出来る限り注意をこちらに向けようとした友宏だったが、廊下の静寂が不安を煽ってくる。
「必要な人……?」
思わず鸚鵡返しをしてしまう。彼はクラスのエースと呼べるほど運動が出来るし、女子からも注目されているし、確かに必要な人なのだろうがそれだけだろうか。正義感(自称)ではない別の感情が頭をもたげる。その白銀君の疲れは顔にまで表れ始めた。このままでは、このままでは……という悪魔の囁きが聞こえてくる。それを気にしたら負けるのだ。友宏は喋った後に深呼吸をして平静を保つ。
「大丈夫ですよ。流石にまずいことをしているなと思ったら口出しをすることはありますが。オカルト同好会は風紀委員のお得意先ですからね。近所の小うるさいおじさんおばさんくらいに思ってくれたらいいなと僕は思います」
本当に大丈夫なのだろうか。
たった一人で、誰もいない舞台に立って、いない観客に向かって喋っているような孤独感を感じた。
「さあ、勧誘かそうでないかは自分でも分かりませんが……しかし、ここまでやっても返事が無いことからも分かると思いますけど、彼は返事が出来ないようです。そんな状態の白銀君を無理に入れたとなれば。こちらとしても立場上黙っていることは出来ませんよね」
結局、白銀君にとっては自分も彼らも同じなのだ。彼の意向をまるで無視して、モノのように扱っている……たかが少し喋れないくらいで。同じようにされたら、友宏だってうんざりするに違いない。たった今、気が付いた。独りよがりって、なんて寂しいんだろ。
「……ごめん。後は僕に任せて、帰っていいよ」
じっと白銀礼を見つめ、小さな声で呟いた。申し訳なさとは次元の違う後悔が、後を引いて残った。
総合掲示板
小説投稿掲示板
イラスト投稿掲示板
過去ログ倉庫
その他掲示板
スポンサード リンク