オリジナルなりきり掲示板

Re: 放課後オカルティカ ( No.52 )
日時: 2018/07/07 23:18
名前: 宝治  ◆wpAuSLRmwo (ID: iihmFlhR)

>>47

【旧書庫】
【a:栞を観察する】

手作りらしき押し花の栞だ。丸みがかった五角形の花弁と二股に分かれた特徴的な葉から、ヒルガオ科の植物と推測できる。
透明フィルムの部分は経年劣化で糊が剥がれ四隅は小さくめくれており、黄ばみもひどかった。
裏には俳句が綴られているが詠み人の名は無い。クオリティからしておそらく学生の創作句だ。
どこか神経質な震えを感じさせる繊細な筆致で、夜空に浮かぶ星々……天の川についてうたわれていたが、読み方を変えれば意味もまた変わるかもしれない。

【関連画像を投稿しました。小説イラスト投稿掲示板よりご覧ください】

有栖が句の意味を読み解いていると、ふいに背後から声がかかった。

「如月さん。手に持っているものは、なぁに?」

気づかない内に神田栞子が戻ってきていたようだ。
しゃがみ込む有栖の真後ろから腕を伸ばし、ひょいと栞を取り上げしまう。

「ああ、これは、」

一呼吸溜めて、

「……如月さんも巻き込まれちゃったのねえ」

同情とも自責の念ともつかない苦渋の表情を微かに浮かべて、栞子は呟いた。

「信じるも信じないもあなた次第だけど、あなたは今しがた一つの怪異オカルトに触れてしまった」

有栖は唐突に思い出す。この学園に初めて訪れた時、先輩の一人に囁かれた言葉を。

“知らないふりをしていれば、危険はまずおこりません。”
“……だけど、そう。一つだけ言えることは、”

「“ヨルガオ様には気を付けて”ねって、もう遅いかもしれないけど、一応忠告。
……それについてもっと知りたければ、古版さんと垣戸さんが調べてるの。明らかに偶然ではない。生物準備室に向かってるから、今からでも行ってみるといいわ」

◆ ◆ ◆

ざわめきを感じる。陰が蠢く。

「……少し、遊びすぎじゃない?」

それは独り言なのか、それとも見えない誰かに伝えた言葉なのか。

揃ってしまった栞と手紙。
夜顔、死の知らせ。

彼女の脳裏に十二年前の放課後が浮かぶ。
この学園では何が起こっても不思議ではない。
遠からず犠牲者が出ることを、栞子は確信していた。