オリジナルなりきり掲示板
- Re: 【中文推奨】幻妖戦記【戦闘メイン】(募集中) ( No.250 )
- 日時: 2018/08/09 11:00
- 名前: 流沢藍蓮 ◆50xkBNHT6. (ID: Yv1mgiz3)
【大変遅れまして申し訳ございません!
三人分一気に書きます!】
>>247
〈ジェミニ・オルトス〉
〈ジェミニ!〉
ジェミニの中のジェミナイが、鬼気迫った叫びをあげる。感じた殺気、ジェミニの横から。戦闘技術に優れたジェミニは驚異的な反射神経で辛うじてそれをかわすが、代わりに左腕に裂傷を負う。
「くぅ……ッ!」
呻き声をあげてジェミニは一旦大きく後退する。油断なく新たな敵と紫苑に目を光らせながらも傷の様子を素早く確認する。ジェミニの中のジェミナイが、冷静に状況を分析した。
〈傷は軽度。失血死に至る要素もなし。ただし一部が神経にまで達しているため激痛を発す。複雑な傷のため治りは遅い。……ジェミニ、僕が左腕を担当するから、自分は右腕のことばかり考えていればいい。僕が軍師として指示を出すから君はその通りに動いてほしい。さて、と……〉
ジェミニの左腕が勝手に動き出して剣を仕舞うと、ジェミニの服の袖を勝手に千切り取った。それを見たジェミニは右の剣を仕舞い、不器用に傷に包帯代わりの袖を巻く。ジェミニの白い服はまるで包帯そのもののように見える。白い生地に、ジェミニの流した赤い血液がさっと滲んだ。
その間に、ジェミナイは相手の分析を終えていたらしい。
〈新たな敵。黒城美薙。猛毒の黒蛇。君が眠っている時、一度対面したことがあるけれど……。僕とは反りが合わない、残忍でサディスティックな破壊魔。人面獣心。表は普通だけれど裏は危険。要注意人物〉
「そっか、ありがと! 警戒はするに越したことないのね?」
心の声に、ジェミニが直接言葉を発して答えると、そうだよと返答があった。
〈とりあえず、僕はジェミニを傷つけた彼女を許す気はさらさらないけれど。ジェミニ、もしもの場合は僕が残った精神力をかき集めて、直接君を操るか君の力を使うから。そんなことは起こらない方がいい。そんな無理をしたら、今度こそ僕は本当に消えるだろうからね〉
「え……っ?」
そんな言葉を発するジェミナイに、ジェミニは困惑した声をあげた。
でも安心して、と、淡々としたジェミナイの声が、強い力を持ってジェミニの中で、響く。
〈そうさせないのが、君の役目だろう? 全身全霊で自分を守れ。十分時間は稼いだし、テメレアさんももう逃げていることだろう。気にするのは自分だけ。簡単だろう?〉
「……うん!」
ジェミニは、頷いた。頷いて、改めて鋭い目で二人の敵を見つめる。
「かかってきなさいよね! あたしたちは二人で一人! 言っておくけれどその連携の強さは、単なる仲間同士でしかないあなたたちとは桁が違うわよ! あたしたちは半身同士! ジェミナイの首が落とされたって……その心は、あたしの中に残ってる!」
再び構えた二本の剣。燃え上がる赤と青の炎。赤は右、青は左に。ジェミニは右利きでジェミナイは左利きだった、まるでその事実を表すかの様に。
消えない闘志、消えない炎。どこまでも淡々とした氷のジェミナイとは対照的に、ジェミニの存在はまるで炎。しかし彼女は炎、炎であるがゆえに、いつしか自分自身をも焼き焦がしてしまうのだろうか。氷のジェミナイが溶けてしまったのと同じように、いつしか消えてしまうのだろうか。
だが、炎は炎であるがゆえに、消えたとしても、消える寸前の鮮やかな輝きは、誰の記憶にもよく残る。誰も知らないうちに、いつの間にか溶けてしまったジェミナイとは対照的に――。
ジェミニは燃える、炎を燃やす。右の剣に、その赤の双眸に。
「双子座の力――見せてあげるわッ!」
>>248
〈ゼフィール・ヴェントゥス〉
ミオンの言葉に、そうだよとゼフィールは返す。
「あーあ、僕ってば馬鹿、すっごい馬鹿。僕はこの戦場をゲームの一種だって思って、ゲームを楽しむみたいな感覚で戦っていたんだけれど大失敗。あの軍師は本気だったよ。そこで僕は自分の甘さを思い知らされたのさ」
ゼフィールは今でも思い出せる。軍を背負った軍師の、あの覚悟を秘めた強い瞳を。
「でさぁ、僕は彼が僕に喧嘩を吹っかけたって勘違いして軽い気持ちで戦ったら、ご覧のザマさ。だから無様。自分で勘違いして戦って大怪我を負うなんて、そりゃあもう、愚かとしか言いようがない」
面白おかしくゼフィールは語る。その中には自嘲が含まれていて、どこか皮肉げだった。ゼフィールはゼフィールなりに思うところがあるのだ。あの時、過去の記憶に引き摺られなければこんなことにはならなかったのに、と。
ゼフィールは、今は亡き親友を、相棒だった一人の人間のことを思う。
(君は僕を強くしたの? 弱くしたの? 君との日々は無駄ではなかったと僕は思っているけれど、その結果、こうなってしまったの?)
感情を知らなかったゼフィールは、「彼」と出会うことで感情を知った。「彼」はゼフィールを確実に変えたけれど、感情を知らないことによる強さも奪っていった。
「彼」は優しかったが、同時に残酷でもあったのだと、「彼」亡き今、ゼフィールにはわかる。
「ま、要約すればそんな話。ん……確かこっちの軍師が戦ってるって、風が教えてくれたけど。加勢に行った方がいいんじゃないかな? 僕は……そうだね、まだ少し、休むよ。でも後で必ず行くからさ。テメレアの水の魔法はすごいなぁ、かなり、よくなってきているよ」
ゼフィールは大きく首を振って過去を振り棄てると、そう、無理に笑顔を浮かべた。
>>249
〈八咫夜光〉
優璃の言葉に、夜光は目を見開く。
「残された民が……どうなるか、だと……?」
夜光はそれまで考えたことがなかった。この戦場にあっては「今」を生きることの方が重要で、夜光はそのために動いてきた。
盲点。
なんと、愚かな。
怒りのこもった金色の目を見て、夜光は己の愚かさを知った。
夜光は自身が強かったから、強いという自覚があったから、大して自分を顧みずに自ら進んで傷付いた。そのことによって悲しむ者が、心を痛める者がいるとは知らずに。夜光は自分が王たらんとするためだけに、自己満足のためだけに、動いていたに他ならない。そんな王、果たして王と言えるのだろうか? 「国のため」を大義名分として掲げていた夜光。しかしその真実は、「自分のため」に他ならないのではないか? 夜光はそう思った、思ってしまった。
今、夜光をいさめてくれる軍師は大怪我をしていて動けない。そしていさめる者なくば、夜光は勝手に皆の犠牲になろうとして勝手に死んでしまう。
残された民がどうなるかなんて、一切関係なしに。
夜光は笑った。乾いた声で、ハハハと笑った。
「俺は……愚か、だったのだ、な……」
ようやく、彼は気づいたのだ。
「俺の目指し、て、いた……『王』は……戦場で散る、短命、の……英雄と、同じようなもの、だった。英雄、は……国を治めない、から……散っても構わな、い、のかも……しれないが……王の役目は、戦の後も、続くのだな」
盲点。何という愚かさ、自己中心。
ようやく、気付いた。
夜光は決意を固める。
「ならば……俺は、王として命ずる、優璃」
その目に宿ったのは、王者の風格。
「副長を、助けに行け」
自分はしばし休むから、と彼は言った。
「紫苑は……今、不安定だ。誰か、が……サポートに行く必要が、ある」
言って、彼はその身を巨大な八岐大蛇に変えた。その姿はあまりにも巨大で、それで全身透き通っていて半透明で、向こうの景色が彼越しに見える。それでも彼はそこに存在していた、確かに存在していた。彼は皆の邪魔にならないように、そのあまりに巨大な身体を、しばらく別の次元に避難させているだけなのだ。
どこからか、大地からか、天空からか、それても目の前の半透明の大蛇からか、重く深い、遠雷のような響きが発せられる。
『行け、優璃』
全ての物語が、ジェミニと紫苑の戦っている場所に、集束しつつあった。
【一人の話で約1000文字書いたんです、これで留守にしていた分は取り返せるでしょう(と、願いたい)】
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