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Re: 【中文推奨】幻妖戦記【戦闘メイン】(募集中) ( No.56 )
日時: 2018/05/15 22:56
名前: 庵徒 (ID: xFdKC5ra)

>>54

烏兎は長生きしているにしては幸せな生き方だった。
長生きをするということは同時に死をよく見ることでもある。
それは、戦争が起きているということを考えるとさらに見る数も、知り合いが死ぬ数も増える。
しかし、彼女には師匠がいた。
どれだけ親しい人物が死のうが、彼女の絶対的な信頼をおける人物がいるということが彼女にとっては支えになっていた。
しかし、目の前の者はどうだろうか。
その痛々しい体を見ればすぐにわかる。
この者には烏兎にとっての師匠のような存在がいないことに。

「お母さん・・・・お母さん・・・・。」

その言葉を聞いて烏兎は現実に気がついた。
似ていたのだ。
烏兎が生まれたときと。
彼女が妖怪になった時は孤独と不安でいっぱいだった。
なぜなら彼女は何も知らなかったから。
ただ生きて、兎と死ぬだけの人生が、突然妖怪として長い命をもらった。
これがどんなに恐ろしいことか彼女は知っている。
彼女にはたまたま師匠が拾ってくれるという幸運があったが、どうだろうか。
ここには烏兎と目の前の者。

その時、小石にぶつかって転んだ。
それでも泣かずに歩き続ける姿は痛々しくて、とても悲しくて。

「大丈夫だよ、大丈夫。私が君を守ってあげる。」

抱きついた。
安心させようと、見ているのが辛くて。
せめて、少しでも痛みを和らげることが出来たら。
そう、優しく、包み込むように。