ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作小説、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

>>18

「……気になった？リスカしてる子が可哀想だった？もしそうなら…………偽善者は出て行けよ」

相手の喉に突きつけたカッターを回し、刃を戻してパーカーのポケットに突っ込む。
脅迫のような、荒い口ぶりで此処を自分一人の空間にしようとする。

さすがに席がすぐ隣なんだ。ある程度こいつのことはわかる。
どいつもこいつも、結局偽善者なんだ。

ああ、そんなこんな考えているうちに、また切りたくなってくる。綺麗な紅。溢れてくる血。一生治らない、幾つかも解らない、無数の傷。
切りたい。
早く。
また快感を味わいたい。
そう思えばカッターはまた、左腕に突きつけられていた。そして、スッと引く。
血の紅。
何してるんだ、人前で。
辞めなきゃ、辞めなきゃ。
紅はどんどん零れる。
切りたくない。快感とは別の感情が沸いて出る。
ザクザクと皮膚を切る音が鳴り響く。
辞めたいのに、零れ続ける紅に嫌気がさす。
人前、しかも隣の男子に、さっきまで脅迫していた相手に視られるなんて。
恐い。
ただ、恐い。
人が離れ、辞めさせられ、壊されるのが恐い。
やだ、やだ。