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リスカする手を止め、またカッターをしまう。
理由。誰もがそれを求める。
無くたって、無いと言ったって、問い詰められる。
でも、この質問は、何気無い疑問のように聴こえ、理由を求められている気がしなかった。
流しに零れ落ちた血を水で流しながら、答える。

「リスカ…………落ち着く、から？」

ぎこちなく、答えを述べる。と言っても、自分でもさだかではないので、疑問系のようになったのだが。
多分、最初は生きている、という痛みの印と、快感に溺れていたんだと思う。でも、いつしか、イライラしたらストレス発散に、嫌なことがあったとき、それを忘れるために。そんな風になって、痛みにも慣れて、殆ど感じなくなって、ただの癖になって。
理由なんて、無いにも等しくなった。

そんなことを考えながら、腕の血を少量の水をつけた脱脂綿で拭き取り、ガーゼでおさえ、軽くテーピングしたあと上から包帯を巻く。
保健室の物は、いつの間にか大体何処に何があるか覚えていたので、いつものように処理を終えた。

ついさっきまでリスカしていたからなのか、なんとなくだるくなってきて、空いている、もうひとつのベッドへと向かう。まあ、こんなことを毎日のようにしてたら少しの傷で、しかもそれが浅くたって貧血になるよな。

このまま１日を終えて、そのまま家に帰ってしまおうか、なんて考えが脳内に浮かぶ。

スマホでも弄るか、なんて思ってスマホをだし、お馴染みのお絵かきアプリをタップし、そのうちネットにでも挙げるだろうイラストを書き始めた。