オリジナルなりきり掲示板
- Re: Area Dei(募集中)【戦闘・恋愛】 ( No.33 )
- 日時: 2018/05/27 14:26
- 名前: 水城 (ID: 7NcgQhKb)
>>31
セリルと名乗った女性研究員に名を当てられ、セストは大きく目を見張った。大抵は衣服に記された番号で呼ばれるのだ。ここにいる大人は研究対象を道具として扱う者が多く、名前を呼ばれるということは皆無に等しい。更に、彼女が齎した情報──救出作戦を企んでいる者がいるという事実、彼らが職員を襲撃したという事実。そして、ちらりと滲んだ研究所への憎悪。
この研究員を信じてもいいのだろうか。
天秤は僅かに信用へと傾いたが、研究所内の大人達が荒みすぎていて諸手を挙げての信用は難しい。ホワイトボードに記されているという情報を見てから判断するべきだろう。
「……ありがとう、ございます」
すっと視線を外し、ひとまずは深々と頭を下げて第一会議室へと向かう。被験体が居ても違和感がない場所は堂々と歩き、第一会議室の前まで来ると慎重に周囲を確認して素早く滑り込んだ。不用心に放置されていたホワイトボード──そこに記されたセストに対する所感は、まぁ、些細なことだ。無抵抗を心掛けてからも執拗に暴力を振るうのは一部の職員のみ。彼らの面差しは記憶にしっかりと刻みつけてある。ボードの上から順々に追って、最後の人物まで到達したとき思わず掠れたような声を上げていた。
「ロレッタ……?」
どれほど眺めても板書の名前が変わることはない。ホワイトボードの前で絶句しているセストの背を冷たいものが伝っていく。片割れの性格は自分が一番よく知っている。そう、自負している。自分が囚われいると思えば勇んで参加するという奇妙な確信があった。彼女がここにくる──それは喜ぶべきことだが、セストとしては避けたいことでもある。裕福な夫婦に拾われ、研究所からも「監禁不可」と認識されている片割れは、これ以上ないほど安全な場所にいる。このまま最期まで幸せに生きてほしいというのが本音だった。
「……もっと、情報がほしい」
セリルと名乗った女性を信用しよう。彼女が中庭に留まっていることを願い、顔面蒼白のまま来た道を戻っていく。終わりの見えない研究のため酷い表情をした子供が溢れているからか、誰かに見咎められることもなく目的の中庭まで戻ってきた。もし先程の女性研究員が留まっているのなら矢継ぎ早に問いを投げるだろう。
「この施設で戦闘の心得があるのは誰?その人は普段、どの研究室にいる?」
「研究所と外を繋いでいる抜道はある?」
「俺達の白手袋はどこにある?」
「この研究所は研究室が多いけど、一番重要な研究成果があるのはどの部屋?」
現状では片割れの動向を把握するのが最優先。でも、実際に事が起きたときに右往左往して足手まといになるなど御免だ。自分の備えが足らずに片割れを危険に晒すなどあってはならない。だから、内部の把握など自分の立場でできることは確実に熟しておきたかった。
【住民票代わりの白手袋について質問があります。
1、貧民街出身でも支給されるという認識でいいですか。
2、魔力が高くても白手袋がなければ魔法の使用は不可という認識でいいですか。
3、研究所に監禁された子供は研究員の安全確保のために白手袋を取り上げられると想像しました。違っていたら修正するので返答をお願いします。】
総合掲示板
小説投稿掲示板
イラスト投稿掲示板
過去ログ倉庫
その他掲示板
スポンサード リンク