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>>13

【エミリー】

少し乱暴に扉が開けられ臆病なエミリーは肩を思いっきりびくつかせ体を縮こまらせる。
しかし聞きなれた声にほっと一息つき、自分はここです、と立ち上がろうとするがそのあと聞こえた萎えた声にエミリーは固まる。
少し機嫌の損ねたその声は今出ていっても気まずいだけだと本能的に察知し、ボスの机に身をひそめる。

「……、ぁ」

少し顔をのぞかせるとボスの足元近くに書類が落ちているのを見つけた。
あんなところまで飛んで行ったのか、とエミリーは内心焦りつつアルバに気づかれないように距離を縮めた。
四つん這いになってしんしんと床を移動する姿は見事に滑稽で、アルバがみたら呆れるだろう。
しかしもう少しでアルバが座っている来客用の椅子に回り込める。
もうすこし、とアルバの座っている椅子の隣に身をかがめたエミリーは足元に手を伸ばす。

「ひぇっ、」

あともう少しだったのに。寸前のところまできて胸元に抱きかかえていた書類を落としてしまう。
ああ、やらかした。と思ったころにはもう遅い、手を伸ばしたまま四つん這いになりボスの足元にいるエミリーはばっちりと本人と目が合い、エミリーは真っ青になりながら乾いた笑みを浮かべたのだった。