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Re: とある港町の話【募集開始】 ( No.33 )
日時: 2019/06/05 19:45
名前: Dietrich (ID: W7Can3CF)

   ◆

『懐かしい顔だ』

 テレビの音にかき消されそうなほど、小さな声が聞こえた。
 僕が振り返ると、小さな薄型テレビの液晶画面にはドキュメンタリー映像が映し出されている。〈アナザー〉に関連した戦争の話を、当時の資料や映像を交えて紹介しているようだ。

 そういえば、あの戦争があったのは夏だったとDから聞いたことがある。
 今年もまた、夏が近づいてきた影響でこんな番組が増えているのだろう。

「また昔話ですか」

 僕が笑いながらそう聞いても、Dは珍しく、軽口を返してこなかった。
 ただ、本当に小さな声で。

『ひとりで、寂しかっただろうに』

 無機質な合成音声が震えていた気がした。

   ◆



◆保安所
 〈アナザー〉を擁護しようと立ち上がった団体は、保安所と呼ばれていました。
 保安所の役目は、〈アナザー〉とそのハーフのリストを作るのと同時に、彼らを保護し、生活を支えていくことでした。保安所で働く者は保安官と呼ばれ、保安所の動きに賛同した人間や保護された〈アナザー〉が町を見回り、迫害を受ける〈アナザー〉たちを救っていました。彼らの動きの中心部となる建物の中には宿泊するスペースもあり、小さな子供や身寄りのない〈アナザー〉たちが協力してが生活していました。

 この保安所を立ち上げたのは、オズヴァルドと言う人物です。アメリカの裕福な家に生まれた彼がどうして〈アナザー〉の保護団体を立ち上げたのか、事の仔細を知る者はすでに先の戦いによって失われているといわれています。しかし、保安所にお世話になった〈アナザー〉たちはだれしも彼の姿を一度は見たことがあるでしょう。それほど、彼は〈アナザー〉の保護活動に力を入れていました。
 戦争により、多くの仲間と自身の脚を失ったオズヴァルドは、保安所の再建に力を注いでいましたが、より早く〈アナザー〉たちの安全を勝ち取るために、国との話し合いに同意しました。この行動を批判するものも多く、彼は多数から批判を受けました。のちに、事実上保安所は解散となりましたが、彼は粘り強く〈アナザー〉たちへの声掛けを続け、フルートスへの移住計画の成功に貢献しました。

 現在、彼の行方を知る者はいません。国との話し合いが終わった直後に病によって表舞台から姿を消してから、世界は彼のことを忘れてしまったようでした。


◆狩人
 〈アナザー〉を迫害した人間たちの中でも、過激な思想にとりつかれた人間たちが寄り集まって生まれた暴力的な組織です。
 当時は完全に独立した組織だと考えられていましたが、のちに国の軍と結びつきがあったと判明しました。狩人の構成員のほとんどが軍人で、相応の訓練を受けた戦闘能力を誇るものばかりでした。さらに、彼らは独自で開発した薬物によるドーピングも行っており、人間では到底かなわないだろうと言われていた〈アナザー〉と互角に渡り合えるほどの力を有していたといわれています。
 現在狩人は解散したと国によって発表されましたが、実際は国の軍に吸収され、活動を停止しているだけとなっています。国は〈アナザー〉たちの反乱を危惧し、最終兵器として彼らを隠し持っているつもりでしょう。




※こちらは過去の設定となります。エッセンス程度に設定に盛り込む、といった感覚でお読みください。
また、こちらにあるように「オズヴァルド」という人物について、現在の詳細を知っている、等の設定は禁止とさせていただきます。昔あったことがある、話したことがある等の設定は可能です。ご要望があればキャラクターの仔細な性格なども載せようと思いますので、気軽にお声掛けください。