オリジナルなりきり掲示板
- Re: お菓子の国のジンジャーマン 〈長文推奨〉募集中 ( No.35 )
- 日時: 2018/12/22 19:51
- 名前: もっぷ ◆AGbt8hXHsE (ID: kzjN7yPk)
>>31
【ルシアン・ベル/王都内自宅アパート】
「ああ違う、きみの髪は色がいいから、櫛を通したらもっと艶が出てきれいだろうと思っただけだよ。そんな顔……いや、きみさっきから表情は全然変わってないな。まあつまり、そんなに自己否定的になるなよ。別に苛めやしないから」
ルシアンはばつが悪そうな顔をして、言葉を選びながら話した。本当は返答の後に苦言を呈する気だったので、全然“だけ”ではないのだけれど。ただ面倒だという理由だけだったなら彼女の親よりも口喧しく注意したろうが、流石にルシアンも、すでに崖から落ちそうな相手に早く落ちろと石を投げるような真似はしない。風に靡いた彼女の髪に視線をやり、身嗜みは自分の手入れなのよ、自分を大事にすることなの、という母の言葉を思い出した。
さて、どうしたものか。元よりルシアンは社交的な人間ではない。彼女も先ほど歩き出しかけたようだし、あまり長く話をする気はないのだろう。そもそも、掴まり立ち状態のルシアンの姿を見て心配の声をかけてみただけで、話をする気など最初からなかったかもしれない。じゃあここでお別れ、変なことを言って悪かったねと話を締めて、このまま自室へ踵を返したらいい。むしろそうするべきだ、とルシアンは思った。
ふう、と一拍おき、邪魔な髪をかきあげながら口を開く。
「……少し話をしたから、そろそろ名前ぐらい知り合ってもいいんじゃないかな。僕はルシアン。きみ、名前はなんていうの」
まあ、古今東西、酔っぱらいとは人に絡むものだ。さっきまで随分飲んだし、醒めたと思っただけで、まだ残っていたのかもしれない。誰に対してか分からない言い訳をしながら、「まだ歩けるか不安だから、やっぱり話し相手をしてよ」とねだる。左腕のない彼女からあまいにおいはしないから、今はそれだけで、少し心を許せるような気がした。
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