オリジナルなりきり掲示板

Re: お菓子の国のジンジャーマン 〈長文推奨〉募集中 ( No.37 )
日時: 2018/12/30 22:29
名前: もっぷ ◆AGbt8hXHsE (ID: kzjN7yPk)
参照: 毎度遅れて申し訳ないです…!

>>36
【ルシアン・ベル/王都内自宅アパート】
「ああ、ありがとう。音がきれいな名前だし、僕はそのままティアナと呼ぶよ」

 変化したティアナの表情に微かに目を見張り、数秒のためらいの後、ルシアンは微笑みを作り彼女に応じた。作り慣れない表情はぎこちなく、気を抜けば色んな箇所が痙攣してしまいそうだったし、特にいつも下がりっぱなしの口角は久しぶりの動きにぴりぴりと痛いような気さえするほどで、とても素敵な笑顔だとは言えない仕上がりだろうことは鏡を見ずとも分かる。――いや無理だ、できないことはやめよう。ルシアンは仏頂面に戻り、誤魔化すように視線をあらぬ方向へと向けた。笑顔といい、うまい会話といい、世の中少しやめると途端にできなくなることばかりで、ルシアンは時おり人生そのものが面倒くさくなるのだ。それでもなお、自分からどうこうなりたい訳じゃない。

「……まあ、僕も笑顔が下手だけど、それについてはきみも上手じゃない仲間だし、いいか、何も言うなよ。言及するな。……ああ、変な勘違いをしたら悪いから言うけど、きみのさっきの顔は変じゃなかった。まあまあかわいい。安心して」

 階段下のティアナへ視線を戻し、言いながらルシアンは首を傾げた。彼女の表情を褒めようと思ったのに、人を褒めようと思いながら日々を生きていないからか、どうにも褒め言葉という雰囲気にならない。まあまあかわいい、は褒め言葉として弱いのかもしれない、と思った。けれどこれ以上言葉を重ねたら、それはそれで必要以上に大袈裟になり、嘘くさく聞こえるような気がして、結局ルシアンはこのまま話題を切り替えることにした。

「ねえティアナ、僕が上にいるから、きみずっと見上げながら話しているけど、首が痛くならない?」