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Re: 太陽が死んだ【募集中】 ( No.27 )
日時: 2019/03/09 02:24
名前: 榎@ENOKI (ID: SsbgW4eU)

>>25

勉強に感情移入というフレーズに、ついに俺の頭がパンクした。なんなら「はわわ……」と意味のわからない悲鳴を弱々しく口にするほどだ。
そもそも感情移入ってのが俺にはイマイチわからないのに、そんな代物をさも当たり前のように扱われると感情すらも追いつかない。
いやこれが感情移入なのか?俺は今、感情移入ができてないのか?何に対して、感情移入ができないんだ?
学校の成績が良くて読書好きの人間ってのは、俺とは真反対の人間に違いない…。たとえ上位の成績が取れるほど頑張っても、それだけでは生きていけないのは身にしみるほど分かっている。そんなもの、叔父の借金返済やこの闇商売からすぐに足を洗えるほどの便利な道具じゃない。役立つのは子供が大人に歯向かうときぐらいじゃないか、俺はもう子供じゃないから利用できない。

体の奥深くから戦慄する発言をかました目の前の子供が恐ろしく見える。
当の本人は大人しいが、あれは台風の目だ。だってアイツから離れて立っている俺が、混乱で頭が回らない上にこんなにも恐怖しているんだ。
俺が今立っているのはどこぞの地方部じゃなく、台風で吹き荒れる世界だ。気圧と風速は史上最高値を叩き出してるに違いない。

「ひえぇ……子供こわ……お前やべーわ……。……てか、単語を知るために読むのは本じゃなくて辞書じゃねーのか……?」

激しく脈打つ心臓を、服の上から抑えるように胸に手を当てながら突っ込みをいれるけど、それすらも弱々しい口調になる。

「小説なら古かろうが新しかろうが、どうでもいい……。小説の内容を真剣に受け取る奴なんてそうそういないだろ、魔法や火を噴くドラゴン、幽霊やエイリアンなんて存在が小説の中にしかいないように……。人間は言葉で世界を知るけど、所詮自分の五感で知り得るものしか信じられねーんだからな」

心臓の脈動が落ち着いていくにつれ、口調もいつも通りになるがまだ頭の中が混乱している。久しぶりにヤニ吸えば落ち着くかな……。
本屋の位置を示されたのでそちらに足を向ける。これ以上振り回されたくない、子供と言う名の恐怖体験はこりごりだ。台風の被害に遭いたくなきゃとっとと離れるのが正解だ。

「本屋はそっちか、わかった。話はこれで終いだ。じゃあな、……」と、ここで子供の名前を聞いてないことに気づいた。
俺自身、任務の関係であまり名乗りたくなかった。でも、このタイミングで聞いて、この子供は答えるのか?俺の笑い声を不快に受け取ったやつだぞ。
「……クソガキと呼べばいいか?名前教えてくれんならそっちで呼ぶけど」