オリジナルなりきり掲示板

Re: 太陽が死んだ【募集中】 ( No.73 )
日時: 2019/07/01 15:00
名前: 榎@ENOKI (ID: ZFblzpHM)

>>72


言い訳がましい僕の発言を拾ってくれたけど、それよりも頭を下げて謝るナーシャの姿が脳裏にこびりついていて「あ、いちお、国から募集のかかってる技術分野も専門にしてるんで……」と誤魔化しながら、少しの間目を伏せた。
無遠慮だとか言って反省しているナーシャだけど、多分僕自身が世俗に疎い、疎すぎるのが原因だろう……。適当な相槌をして流せておけば、お互いに傷つかずに済んだのだろうか……。女性相手に適当な相槌とかできるの?僕が?男友達のノリでいったらやばいだろ、たぶん即アウトだ。いやどっちだよ、でもどのみちアウトだ。
ともかく、今回で判明したけど、僕自身が女性への接し方をすっかり忘れた(というか、分からないというか)って点と、青臭いプライドでグズグズして持て余していた点、厄介と厄介の掛け合わせで致命的になる。タメ口で喋れる頃には治ると思ってたけど無理だ。意識してセーブしていかなきゃ、いつまでたっても、このままだから。忘れろ、羞恥を忘れろ、捨てろ、生きていくのに邪魔なものは。
気づけば止めていた呼吸をゆっくり取り戻す。僕の頭の後ろに暗幕のカーテンを垂らす、そんなイメージを強く思い浮かべて目を開けた。
そういえば、中途半端に喋って思考にふけってしまった。慌てて、素直に謝った。

「——ごめんなさい、ちょっと考えごとをしてました。ええと……僕の大学なんですけど、先進技術の仕事の求人も給料も、ここ数年で著しく増加したので、 教育現場が間に合わなくて綻びがあるんですよね。被験者の実子への被害が、目に見えて分かるようになってから慌てて研究に本腰を入れた、という状況なんで……あまり褒められるようなことじゃあないんです。僕も、養親がその研究の現場で働いてなきゃ実情が分からないままだったろうし、もっと需要の多い他分野を選んでたと思うので……」

普段なら同じ授業や、近い分野を専攻している人と喋るので、一般の人を相手にどこまで喋ったらいいのかわからず、少し不安になる。
ナーシャの様子はちゃんと見ていた。持っていたお冷やをテーブルに置いて、僕を見る目つきが変わった——長いこと見たことがなかったから何なのか思い当たるまでに時間を要したけど、たぶん、驚きの類いの目線を向けられていた。
技術畑の話なんて、何の役にも立たないのに……と思いながら水を飲んで唇を湿らす。
ただ、やはりというか2世の話は興味を持ったようだ。なんとなく想像はしていたので、自制をするナーシャに「気にしなくていいですよ、いずれ社会に周知されることなので」と相槌をうつ。
視線を手の中の水面に落とし、上下左右に揺らしながら話の続きを考えた。

「それで……えっと……そう、僕の課題の話でしたよね。課題テーマは自由だったんで、“彼ら”の調査は、以前に手伝いで関わったのでそのまま続けてるような感じです。地方部ここの周辺地域はまだ数が少ない方です。
例えば、人体に不必要な突起物があったり、これは人それぞれなんですけど、分かりやすいもので言えば“ネコミミ”や“ケモミミ”を連想するような頭部の突起物とか。他にも異常な五感能力、身体能力や記憶力にも……といった突然変異が見られます。……都市部あっちだと、天才だとか宇宙人だとか、好き勝手に言われてるんですけど、周知されればここもいずれ……」

話題が愚痴になり始めていたので誤魔化すようにふう、と息を吐いてからコップの水を一気に飲み干す。項垂れていた頭を上げて、「ごめんなさい、長々と喋ってしまって。つまんないですよね、こういうの」と苦々しく笑みを浮かべた。