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>>19


蓮華に言われた言葉に、これから言うことを悟られないよう、へらりと笑う。

「…気をつけてはいるんだけどね。」

悟られてはいけない。

「店長の作るものより美味しいものはないからさ。それに、“あっち”じゃあまり美味しいものも食べれないし。」

幻滅などされたくない。

「まぁ、心配しないでよ。これの元はちゃんと取るし、後片付けもするからさ。」

隠し通せ。

「でも、ごめんね。これからは気をつけるよ。」

血で汚れてしまった自分を、この人たちに知られてはならないのだ。

【>>18ｰ20】

「…………ふふ……。」

僕はまた穏やかな表情に戻し、開店準備を済ませた。

料理ができる人はモテるのだろうか？リベルさんに出したモーニングセットを見て、時間が時間ということもあるのだが、いろいろ足りないような……。と感じた。おっちょこちょいなところもあるんだな、店長は。

ただ、これまでの会話の中でリベルさんにどこか違和感を感じる。元の世界で辛いことがあったのだろうか。それとも、何か殺しのようなことをしていたのだろうか。いつもおっとりしていると思われるが、実際いろいろなことに敏感だ。いろんなことを理解しようと努力ももちろんしている。それを人前には見せないだけでね。

僕も、時間と世界を移動して様々な人を見てきた。元奴隷で別の世界から転生してきた女の子や、復讐のために武器を取る半人半狼の殺し屋、人々に差別されていたが、笑顔で頑張っている妖精姫など……。

気になったことを言って怒られるのは怖いからあえて何も言わないけど、僕はそのことを踏まえてリベルさんに話す。

「…………困った時は助け合って、辛い時は僕にでもいいから何か話してね。解決するのは難しいけど、誰かに寄り添うことなら、できるはずだから…………。」