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>>93

皇成side

「ふふっ、かわいいなぁ」

狐リコリスを腕に抱え撫でる。闇夜に輝く銀色の毛並みを撫で

「うん、美人さんだ」

やはり、野生と言う事はないだろうなぁ。
帰ろうか、とマイクを見るもどうやら同じアイドルで、しかも憧れの確か……ルビネコ？ と話すのに夢中でこちらを見向きもしない。帰ろうと言ったのはそっちの癖に、理不尽だとやり切れぬ思いが芽生えるもどうする事も出来ない。
彼に拾われた恩もある皇成は彼らが落ち着くまで待つしか出来ない。

「もう少し待っててくれよ」

ここで今の状況をよく考えていただきたい。
リコリスは本来狐ではなくうら若い少女だ。今は獣の姿なので大丈夫だが、もしこれで真実を知ったならば―――皇成は一回りも違う少女になんてことを！ と絶望し地に埋まろうとすることは想像に難くない事だった。
しかしそんな事は知らない皇成は、すまんなと言う気持ちも込めて優しく狐リコリスを撫で