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Re: 三界録(戦闘メイン・募集そろそろ締め切ります) ( No.74 )
日時: 2020/04/12 23:12
名前: ナタリ (ID: SG60l.ki)

自分より先に戦った者たちも、なにより試験官のあの女性も、全てにおいて自分より上なのだろう。
その事に感づいていながらも、鞘は絶望していなかった。
自分にはすべてを薙ぎ払う力も、大いなる魔法も、なにもない。だか、自分の知においては負ける気はしなかった。
自分の名を呼ばれ前へ出る。自分の容姿から嘲笑する声もどこかから聞こえてくるが、そんなもの勝手に言わせておけばいい。少なくともそんな者より自分の方が上だ。

「試合、開始!」

先手必勝。試験官の女が何かをする前にその小さな体格を利用し懐に潜り込む。
使う魔法は……―――

「『トニトゥルス』」

一瞬ざわめきが広がる。決して意趣返しではない。
闇雲に魔法を唱えるのではなく、医療をかじっていた鞘だからこそわかる、人体の急所に直接電撃を流し込んだ。すると専門のものが唱えた魔法でなくとも、絶大な効果を表す。
試験官の女性は痛みに膝を落としかける。その一瞬の隙を見逃さず、もう一撃―――

「トニッ」
「『トニトゥルス』」
「あぐっ……!」

彼女の放った、鞘とは違い急所を外した全く同じはずの呪文により、あえなく失敗した。
体勢を崩した彼女だったが経験の差か、すぐさま体制を整え直したのだ。先ほどとは真逆の状況になった。
鞘は痛みで喘ぎながら、しかしどうにか事を挽回できないかと脳を回し―――

「試合、終了しますか」

床に倒れ伏せる鞘に近寄り、問いかける試験官。蹲り動かない自分を心配する声がざわめきとなり―――鞘の小さく呟いた言葉をかき消した。

「―――」
「え」
「『トニトゥルス』……!」
「―――っ!?」

最後の力を振り絞り唱えた呪文は見事に命中し、試験官は思わず床に膝をついた。
試験官の脳裏に疑問がよぎる。呪文は同じなのに、この威力の差は一体なぜ―――

「よかった、成功して」

鞘は倒れ伏せたままうっそりと笑みを浮かべて、試験官に内緒話をするように声を潜めてこういった。
―――さっきね、『アクウァ』唱えていたんだよ
そう言われてハッとなって試験官は自分の体を確認すると、魔法を唱えられた部分の服がぐっしょりと濡れていた。そこに副試験官の声が響く。

「そこまで!」


【一応できたので乗せておきます!これで大丈夫ですかね…(初めてなので心配)。水の中にいたら余計にすごくなると聞いたので書いてみました。間違えてたらすみません
 イメージ的には大学みたいにいろんなものを学ぶというよりは、神や地獄の研究メインって感じでしょうか…?】