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>>106

互いに礼をし終わり、私は視線を横へ滑らし、リップの塗った薄い唇の隙間から声を出す。
シェリル「……、……あの、……お茶でも飲んでいきませんか」
私はにこっと作り笑いを浮かべた。
このまま、お別れは嫌だ。
あの日のことが蘇る。無理矢理、カフェに連れてしまったあの日。
その手を、離したらもう会う事はないと何かが言うんだ。
嫌な予感が過ぎる私はジッと彼を見つめる。
シェリル「心配はいりません。義兄様を助けてくれた、お礼です……深い意味はありませんよ」
姉と義兄が仲睦まじくしている中、私は提案する。
　シェリル「駄目ですか……」
重ねた自分の両手に力が入る。
駄目だ、このまま断れたら泣いてしまう。そうしたら今度こそ、2人にバレてしまう。
そうなると、私は一生屋敷から出してもらえなくなるだろう。
幽閉される。