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>>50

　家に送ろうと言ってくれた時、私の何かが覚めきった気がした。
私の家を見られたくない。
きっと彼は家を見て、私を嫌いになる。
この時間が終わってしまう。
シェリル「………っ……はい、お言葉に甘えますね」
切って貼り付けたような笑みを浮かべた。
拳を握り締めて現実を受け入れる。
楽しい夢はあっという間に覚める、そして、いつか終わる。
その言葉を受け入れなければならないと思った。

　『君のお姉さん、絵にかいたような淑女でいいね』

　『何回、家に泥を塗れば気が済むんだ！！？獣人なんか触るんじゃないッッ』

好きだった人に愛されない悲しみ。
家の名誉にこだわった父親、そして誰もに愛された美しい母と優しい姉。
シェリル「……何もない……」
小さく呟く。
誰にも愛されず家の恥として隅っこで育ってきた私はきっと、彼にも見放される。
下手に想わず受け入れよう、そう思う。
彼の後ろをひたすら追いかける。
離れないように、離れたくないから私は追いかける。