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>>62

マロン「おっと」

立ち上がり階段を下ろうとするイワンの背中へ手を添える。
立ち上がって踏み出した段階から足元がふらふら千鳥足である。人間なのに千鳥足とはこれ如何に。
なんて言ってる場合でもない。転がり落ちられたら事だ。

マロン「遠慮せずに掴まってください」

すい、と隣に並ぶと両手を壁について降りる彼の片腕を少し強引に自分の肩に回させ、自分の腕はイワンの腰に伸ばし体を支えてやる。
体格の良さと力には自信があるのだ。なんならおんぶでも良かったくらいには。
そうして「降りますよ、足元お気をつけくださいね」と何でもないふうに階段を下る。
なんでもない、なんでもないとも。
布越しでも伝わる密接した温度に、心臓が跳ねてしまったなんて、ない。