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〈茉莉/ベランダ→廊下→台所〉

　私はゆっくりと立ち上がり、垂れてきた鼻水を啜る。
茉莉「……はしたない」
そう呟き、廊下に出る。
いつも皆の自慢の姉として、淑女らしくしていた。
こんな啜るなんて、はしたない事は茉白が産まれて以来だ。
茉莉「もう、しないと思ってたのにな」
私は腕を後ろで組みながら、足取りを速める。
きっと、都亜は待ってる。
だからこそ。
早くいかなくちゃ。

茉莉「都亜、お待たせ」

台所近くの椅子に掛けられたエプロンをサッと着る。
白と淡い紫を基調とした上品なエプロン。
これは茉白が物心がついて初めて買ってくれたものだ。
古いからと皆に新品を買うのもすすめられるが、手放せない。
そんな大切なもの。