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茉白「……テンションどうした、気持ち悪いからやめて」
そう言い残し、家を出る。
スマホの電源を家の前で入れ、メールを打つ。

　≪美術室じゃなくてカフェで待ち合わせ。『だんろ』にて≫

送った。
歩き出し、向かおうとしたところ、メールが返ってくる。

　≪解った。あそこなら僕も大丈夫≫

その言葉に安心して息を吐く。
スマホを小さな流行のバッグに入れる。
横断歩道を渡り、階段を上り、降り、お洒落な雰囲気の漂う路地裏に位置する【fireplace】英語でだんろ。
私達は英語ではなく、日本語でその店のことを呼びあっている。
暗号のようなもの。
その優越感に浸れる。
茉白「……今、『だんろ』着いたよ。あ、先生も？」
ふふっと嬉し気な声が漏れる。
先生は中にいるだろう。
その事実だけで心が弾んだ。

【陰尚目線】

マスク、眼鏡をつけ、走って行った。

茉白「……今、『だんろ』着いたよ。あ、先生も？」

せ、先生？
恋人は、、、、先生？

茉白「……じゃあ、入るね」
そう言って、スマホの電源を切って、店の中へと進む。
中は暖色系に纏められていて暖炉のように人を休ませる内装。
なのに、お洒落。
この雰囲気が好きなんだ。
水無月先生との初デートの時、雨宿りに寄らせてもらった時から大好きな店。
店長さんとは友達のようになっていて。
大好きな空間。
茉白「裕都君！」
お客さんがいるときは名前で呼び合ってる。
店長さんはこの関係を知っていて心配していたけれど、愛が正義、という思考の方でよかった。
でも。
裕都「茉白さん！……何を食べます？…」
そう言われ、私はお気に入りのスイーツを頼む。
水無月先生はにこにこ、笑いながらカフェオレを飲んでいた。
友人以上、恋人未満の危険性もない私達の関係。
手を繋いだり、少し、大人っぽいことをするだけ。
それ以上はしていない。
裕都「茉白さんは食べている姿が一番可愛いです」
ふにゃ、と眼鏡をかけたその顔を緩ませる。
先生のほうが可愛い。
そう思った。
羊みたいで、でも肉食系。
迫られると攻めてくる。
そういう人。
だから良いんだ。
偽善みたいな恋に羊の皮をかぶった狼。
これでいい。
幸せ。
大好きだから。
この関係が。

え、此処？
今日も此処で朝ご飯を食べた。
此処の店長さんとは仲がいい。
よく相談をしたり、されたりする。

ま、まぁ、入るか。

店長「いらっしゃーい」

俺はカウンター席に座り、

陰尚「俺、陰尚だから。」

と、忠告する。

店長「え、陰尚君？どうしたの、こんな遅くに」
陰尚「聞かないでください。」
店長「で、ご注文は？」
陰尚「アイスティーで。」

…あの方が彼氏…？

陰尚「後ろの方達、どういう関係なんですか？」
店長「あ、あぁ、生徒と先生のカップルだよ、あんまり聞かないでくれ。」
陰尚「そうなんですか。」

は？