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〔雪香side〕

　嗚呼、斬りかかってくる。
間に合わない。
気を取られている戦士は、誰も、助けてくれない。

　「ッ」

目をギュッと瞑る。
「ゆき、じ、いや、雪香様」
この声は。
何故か落ち着く声は。
男のうめき声が生々しく耳元で響く。
刀が空気を斬る鋭い音。
嗚呼、誰だこいつ。
さらさらした、綺麗な銀髪に色の違う双眸。
瞳の色は右が朱色、左が翡翠色のオッドアイ。心つかまれる。

　「はっ、あまりにも簡単に敵軍の大将が殺されたら納得いきませんので」

そう言って刀を持ち、副将に斬りかかる。