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〔雪香side〕

　和太鼓の音が鳴り響き、僕はパッと顔を上げた。
「そろそろか……」
込み上がってくる生唾を緊張と共に飲み込む。

　黒髪を結い直し、深紅の糸を蝶々結びにする。
　「よし」
席から立ち上がり、外へと出る。
四神ヶ原を見渡せる、櫓には菖君と椿君が居た。
　視線を合わせ、空気をいっぱいに吸って声を出した。

　「我が白虎軍がこの戰を制するぞ！！」
おーッ！！と力強い声が上がってきて僕は満足気に微笑んだ。

〔夕霧side〕

「………白虎軍が盛り上がってますね……どう考えるかですか、大将、私は……この戰を我が朱雀軍が制し、もう戰をしないよう四軍で話し合うべきかと」
西の方で盛り上がる軍を見ながら私はそう告げた。
　嗚呼、あっちの軍には、あの方が居る。
　これから戰が始まったら顔を合わせるのは必然的であろう。
初対面がこんな場所なんてロマンの欠片もない。
苦笑交じりに大将に跪いだ。
　「貴女様のお考えに私は従います、その目的が果たせるように私は手伝いをするまでですから」
そっと微笑んだ。