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>>76／憑さん

　「……じゃあ、なんで保健室行かなかったの」

　もっともな言葉に思わず顔を歪め、振り返る。
気分が悪くなったのは、自分の過去のせいで。
クラスに帰りたくはないのは、今、人の眼がとても怖いから、なんて言えるわけがないとばかりせとかは首を振って。

「気分悪いなら、保健室に行くのが普通じゃない？　……あんた、朝からなんか変だったし」

朝の話題を持ち出してきた友一を見つめ、目線を落とし。　
何ていえばいいんだろう、この場を逃れるための一言を手さぐりに探しやっと思いついた最悪の言葉を言おうとしたその時。

　ふわ、と涼やかな風がそれは言ってはいけないとばかりに自分の頬を撫で黙らせてくれる。

「……あたしの、せい」
溢れた言葉に涙を流しそうになり、慌てて顔をそっぽに向ければ続ける。

「それだけ、ほんとに……きれいになったとおもったのに。変わったと思ったのに、いつまでも、あたしはあのまま」

この姿になる為に数々の努力を重ねたのに、今もあの夢を見るのは変われていないと言う事だ。気付けなければいけないこと。

　変われないと言う事、せとかは肩を落とし。