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>>43
「すみ、ません」
本当はいつもハンカチを持っていた先生を見習って、自分のハンカチも持っているのだけど、今はジャックのハンカチをありがたく受け取って、自分のめじりにおしあてる。
ああ、
こうやって何でもない所に先生を思い出したり重ね合わせてしまって泣いてしまいそうになることは最近よくあったけれど、本当に泣いてしまったのはこれが初めてだ。早く泣き止まないと、と涙を止めることに集中し
「……私が好きでいると、あの人に迷惑がかかってしまうから」
「これはジャックさんにしか話したことがないんですから、誰にも秘密ですよ」
そう言う頃には涙も渇いていて
「初対面なのに変な話を聞かせてしまって、すみません。ハンカチ、ありがとうございます」
いつかお礼をさせてくださいね。
成美は笑みを浮かべた。綺麗な笑みではあったが、ひび割れたガラスのような、泡沫のように儚い笑顔だった。