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Re: 【戦闘・日常系】只、月明かりに灯されていたくて。〔募集中〕 ( No.188 )
日時: 2021/01/05 10:40
名前: 無花果 (ID: Sqek5WrB)

>>185,>>186[桂/→居酒屋]

一応の了解を二人から得ると、店の暖簾を潜る。
月が消えランタンを持つことが義務付けたられた夜は嘗てよりも人足を拒むようになった筈だが、来るかもわからない危険よりも今の悦楽を選ぶ輩はいくらかは居るもので、それなりの賑わいを見せていた。
騒がしすぎず、けれど、静かでもなく。
内緒話にはいい塩梅だ、とひとつ頷き案内に出てきた店員に「三人、個室空いてるかい?」と聞けば奥へどうぞ、と先導される。
酔いどれを常に相手している猛者にとっては桂の奇怪な出で立ちは気にするほどでもないのか、一瞥されただけでまともに視線もあわせず、けれど拒まれることもなく座敷の個室へ案内された。
チラと盗み見たふたりは随分と不安そうで、思い悩んでいるように見える。いや、敵の誘いにのこのこついてきてしまっている時点で、そうとう参ってるのだろう。
香というのはもう少し欲望に忠実で好き勝手してる奴らかと思っていたのに、話してみるもんだなあ、と内心ひとりごちた。
ふたりの背中をバン、とそこそこに叩く。

「まぁ、酒は手軽な麻酔さ。根本的な解決にはならんが飲んでる間は多少痛みも和らぐ……素面よか愚痴りやすくなるだろーよ」

取り合えず呑めよ、とテーブルに立ててあったメニューを手渡す。
なんなら桂は外にいた時点で寒さに心折れ熱燗に決めていたしツマミに枝豆も頼む気しかない。

「あー、黒の旦那ははじめてなんだっけか。なら、最初は梅酒とか果実酒のが呑みやすいかねぇ……若い子ならサワーとかのが馴染みやすいか? 雪の旦那はどう思う?」

そう言いながら袖に仕舞い込んでいた巾着を取り出し、中身を覗き見たあと頷き「……最初の一杯は奢るからよ!」と拳を握った。

>>182,>>185,>>186,>>187[玉姫/林]

玉姫の誘いに混乱を見せる恵にくすくすと思わず口を隠して叶と同じく笑ってしまう。

「ええ、遠慮せずに。いつでも歓迎いたしますわ」

少しだけからかうようにそう言った。幼子を包み込むなど造作もないこと。玉姫のもとへ堕ちてくるというのなら、いつだって望むままに柔らかな温もりを捧げよう。
相手が誰であろうと来るものを拒まないのが玉姫だ。
叶は恵と和解しながらも、香としての活動は続けると言う。それが出した答えならば、玉姫は何を言うこともない。
風凪から「これからどうするのです?」と聞かれて、頬に手を当ててわざとらしく首を傾げる。

「叶さまが引かれるのであればわたくしめも争う気はございません。此処は大人しく撤退させて頂きますわ」

元々叶と恵の邂逅を邪魔させないために横槍を入れたのだ。もう必要ないならばこの不利な状況で牙を向くほど殊勝ではない。
それにしても、予想外の再会があったものだ。
これもまた縁ということだろう。玉姫の腹のうちはどうでもいいと語ったあとに続いた行く道を問う言葉に相変わらずの、艶やかな笑みを浮かべて答えた。

「何時迄でも行きましょう。……ええ、だって、万人が不相応でも夢を語ることが許され、武を振るう意義がなく、訪れる明日を当たり前に貪る世を、人は泰平と呼ぶのでしょう?」

それはかつて玉姫を邪悪と呼んだ王が語った夢。差し伸べられた堕落を振り払う、強きものが築き上げた社会なればこそ。
強きものが敷いた政にふるい落とされたあやまつるおさなごらが愛しくて仕方ない。
牙を抜かれた獣の喉を撫でてやるのが愉しくて仕方ない。

「わたくしは何時だって、弱きもの愚かしきものの味方故に」

くすくすと喉を鳴らす獣はどこまでいこうと獣だ。
そう嘯き、先にこの場を離れる毒蠍のふたりへひらりと手を振り別れを告げた。

「はい、わたくしも有意義な時間でございました。おふた方も、どうぞ仲睦まじく御過ごし下さいな」