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Re: 【戦闘・日常系】只、月明かりに灯されていたくて。〔募集中〕 ( No.194 )
日時: 2021/01/10 01:02
名前: 無花果 (ID: QcQewiLv)

>>190,>>191[桂/居酒屋個室]

手慰みにぱらぱらとメニューを捲りながら呑みやすそうな物はないかと目を通しながら、何気なく視線を上げるとこちらを伺う雪との目線がかちあいパチリと目を瞬かせた。
淀んだ水底に沈む硝子玉を探すように瞳を覗き込まれるのはなんとなく居心地悪く、探る視線を誤魔化すようにそれとなく視線を雪から黒へと移す。
素直に奢られる雪とは違い、遠慮を見せる黒にひらひらと手を振った。こうなれば問答無用である。

「若いやつが遠慮なんてするもんじゃないぞぅ。呑めなかったらおれが飲んでやるから、もう勝手に頼むからな。すいませーん、熱燗と日本酒、あと梅酒のソーダ割りください。あと枝豆のばたー炒めってやつ!」

勝手に結論付けてこれでいいかと決めたものを早々に店員に注文した。酒の席でひとり除け者は良くないのだ。とはいえはじめてというし、口に合わなければ烏龍茶でも追加すればいいだろう。
頼むだけ頼んで居住まいを正した。
なんせ、ここからが本番だ。ろくな来歴の無い自分には未来ある若者の相談窓口というのは些か荷が重いかもしれないが、見て見ぬふりが出来るほど器用でもなかったのだから、仕方無い。

「手始めにだけど、ここに脊とか翠とか居たら本当に……殺しはしないけど。まあただじゃ済まないからね」
「おぅ、おれらが此処に居ることを知ってる脊も翠も居らんよ。つぅーても、自己申告しか出来んから信用してもらうしかないがなぁ……」

がりがりと頭を掻いて、曖昧に唸る。
疑われても仕方ないが疑いを晴らす術はない。降参するように両手を上げた。

「仮に、おれが知らん奴らが居ても手出しはさせんよ。こんな一般人が屯してる場でやり合おうってんなら、そりゃ香やら脊やら関係なくおれの敵さね」

へら、と出来るだけ軽薄にそう笑って見せる。
店内では相変わらず酒場特有の騒がしさが響いていた。この場に血を流すのは、誰が相手でもいただけない。

「そーゆーわけだ、楽にしてくれ。……で、あんちゃんらは何をそう悩んでたんだ?」

ゆっくりでいいぜ、そう言いながらも本題を問いかけた。

[玉姫/林→移動]

ひとり。またひとり。戦場であった林を離脱していくのをのんびりと見送った。
ひらひらと優雅に手を振りながら、はじまりの殺伐はどこへやら。冷える夜とは対称に暖かな瞳を彼らは残して立ち去っていく。
嗚呼、今日は愉快な夜であった。
からんころん、高下駄を軽快に鳴らしながら、それらに続くように玉姫もまた踵を返す。

「ええ、またお困り事が御座いましたら、お呼びください。玉姫はいつでも香と共にあります故に」

その言葉を最後に、貝紫の袖を翻し軽やかに場を後にした。
愉快、ゆかい。この世のなんと愉快なこと。
蛇蝎の如き香と脊が心を通わせ場を纏めた。嗚呼、かつて出会ったあの神の新たな面を見付けた。それらは玉姫にとって心躍らすには充分な報酬だった。

「らぁ、ら、ら、ららら」

鼻歌交じりにわらべ唄を口ずさみ、踊るように高下駄を跳ねさせて、妖狐はいっぴき、星明りが照らす夜へと消えていった。